ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2017年06月25日
 Two Parts Viper

 ベースレスのディオという編成は、ロック・バンドのスタイルとしては今や広く認められたものに違いない。元NROMA JEAN、元THE CHARIOTのヴォーカル、ジョシュ・スコギンの'68も、彼自身がギターを兼ね、ドラムとの2人組となっている。これまでのキャリアからするとハードコアの資質がおおもとにあるのだろうが、サウンドの方向性は90年代のアメリカン・オルタナティヴ、インディ・ロックをイメージさせる。しいて喩えるなら、NIRVANAとTHE JON SUPENCER BLUES EXPOSIONのミックスを思わせるところがある。まあ、NIRVANAにせよTHE JON SUPENCER BLUES EXPOSIONにせよハードコアの文脈とかけ離れているわけではないのだけれど、NROMA JEANにあったメタリックな響きやTHE CHARIOTにおけるカオティックなアプローチとはいくらか距離をとったサウンドを'68は抱いているのだ。ロー・ファイの濁りを残すことでギターとドラムの簡素なダイナミズムに鋭さが加わり、演奏時のテンションがそのまま楽曲の価値を底上げしているかのような印象である。ジョシュのヴォーカルは相変わらずいきり立っているし、本当にジョン・スペンサーみたいなシャウトを聴かせることもある。ただし、研ぎ澄まされたまでのインパクトに欠け、ちょっとばかり物足りなさを覚えるのも確か。この手の出力が勝負なサウンドにとってインパクトはすごく大事よ、であろう。それは2014年のファースト・アルバム『IN HUMOR AND SADNESS』にも感じたことで、残念ながらセカンド・アルバムの『TWO PARTS VIPER』でも払拭されてはいない。たぶん、ライヴだとスタジオ音源を遥かに上回った破壊力が発揮されるのだろうな、と思う。そう思えてしまうことが歯痒い。

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2017年04月13日
 Perish

 ギター・レスやベース・レスの2人組で活動しているバンドも珍しくはない昨今である。分厚い音響を重視したドゥームやスラッジの系統であってさえ、ぱっと思いつくかぎり、OMやBLACK COBRA、JUCIFER、BELL WITCH等々が挙げられる。それらのバンドが証明しているとおり、ドラムに1本のギターあるいは1本のベースだけ、という組み合わせであろうと、充分にヘヴィなサウンドを成立させることは可能なのだった。そして、同様の毛並みを、このノルウェーはオスロ出身のディオ、HYMNも持っている。少なくともファースト・フル・アルバムである『PERISH』においては、ギターとドラムのコンビネーションを通じ、ドゥームやスラッジの流れを汲んできたヘヴィなサウンドが成立させられているのだ。鈍重のリズムによってもたらされるドス黒いアトモスフィアとグルーヴのうねりに絶叫じみたヴォーカルが噛み合う。スタジオ音源である以上、実際にベースが入っていないのか断言できないものの、低音の主張は申し分ないし、トリオの編成とはまた異なったフレキシビリティが、インプロヴィゼーションにも似たスリルをダイナミズムのなかに引き込んでいる。いや、もちろん、方法論としては既に真新しくはない。が、厳選されたブレンドのような確かさがスタイルそのものの強度へと転化させられているのである。密室的な息苦しさや呪術的なまどろみよりもパワフルやエネルギッシュと喩えられる部分の大きなバンドかもしれない。3曲目の「SERPENT」で、細かく刻まれるギターのリフは、TOOLやNEUROSISのアプローチを彷彿させながら、ダイレクトであるほど研ぎ澄まされたカタルシスに結びついていく。

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2017年03月26日
 Bonehead

 括るとするなら、ヴィンテージなハード・ロックに近いというニュアンスでのストーナーになるだろうね。フィンランド出身のトリオ、RUCKWATERのEP『BONEHEAD』で聴かれるサウンドは、である。1曲目の「ONCE MORE WITH FEELING」など、縦ノリと修辞できるようなリズムとギターのリフとでぐいぐい押してくるナンバーには、アメリカのKYUSSやFU MANCHU、イギリスのORANGE GOBLIN、スウェーデンで活動しているスパイス(元SPIRITUAL BEGGARS)のキャリア、THE MUSHROOM RIVER BANDやBAND OF SPICEを引き合いに出せるものがある。が、しかし、それらに比べ、パンキッシュと見なせる疾走感がバンドの印象に強く付加してもいる。ワンツーワンツースリーフォーのカウントで幕を開ける4曲目の「SUPER FRUSTRATION」における勢いは、まるでガレージ・ロックかハードコアじゃないか。他方、6曲目の「FLAME DOESN'T CAST A SHADOW」では、まさかシューゲイザーからの影響でもあるのかよ。後期のRIDEを思わせるアーシーなアプローチと初期のRIDEを思わせる轟音のアプローチとが奇妙な同居を果たしており、その意外な展開に少しぎょっとさせられる。全6曲の内容からうかがえるのは、ああしたい、こうしたい、の衝動を自然体で出したことによる一種の多様性であろう。それがラフでありながらもタフにまとまったフォームを生み出しているのだ。もちろん、まとまりがあるのは、EPのサイズだからなのかもしれない。調べるかぎり、これまで数枚のEPをリリースしているが、フル・アルバムは存在しないみたいで、これがフル・アルバムのサイズになると、どうくるか。ライヴも良さそうだし、気になっている。

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2017年01月05日
 Apex III

 年間ベストの類は単純に面倒がくさいから選んだりはしないのだけれど、フランスはボルドー出身のトリオ、MARS RED SKYのサード・アルバム『APEX III (PRAISE FOR THE BURNING SOUL) 』は、2016年によく聴いたものの一つである。実は『APEX III (PRAISE FOR THE BURNING SOUL) 』から遡って過去の音源も手に入れたのだが、ドゥーム・メタルのジャンルに分類されうるスローでヘヴィ、長尺の演奏を軸にしながら、シド・バレットやTHE BEATLESにも通じるようなポップさ、サイケデリックな要素の強く出ているところに、サウンドのおもしろさがあると思う。その音楽性は作品を追うごとに洗練されていき、『APEX III (PRAISE FOR THE BURNING SOUL) 』では、ひずんだ低音が特徴的である以上に、とろけそうなヴォーカルのメロディが一層魅力的になっているのであった。演奏のスタイルは異なれど、ベースが大きな役割を果たし、そこにポップであり、サイケデリックでもあるフィーリングが乗ってくるあたり、レス・クレイプールとショーン・レノンのTHE CLAYPOOL LENNON DELIRIUMを同じ棚に並べることも可能であろう。

 場合によったら、アメリカのDEAD MEADOWを引き合いに出せるかもしれないが、あそこまで籠もった音質でなければ、よりメロディアスな方向に開かれている。無論、エフェクターのたっぷりと効いた低音のうねり、ずっしりとしたリズムの重みを抜きにしては語れない。濃厚なグルーヴに足を取られ、あやしいその魔力にずぶずぶと引きずり込まれてしまうのである。『APEX III (PRAISE FOR THE BURNING SOUL) 』について述べていきたい。ヘヴィな演奏とは距離を置きつつ、同一のフレーズを繰り返すことで神秘的なムードを醸し出した1曲目の「(ALIEN GROUNDS)」からシームレスでタイトル・トラックとなる2曲目の「APEX 3」に突入し、サウンドがぐにゃりとゆがんだ瞬間(それは決して派手な展開ではないのに)異様な盛り上がりがある。低音を寄せては返す波のように持続させるベースの果たしている役割は大きい。そして、コーラスに差しかかり、いななくギター、とろけそうなヴォーカルのメロディ、これらを束ねる構成の見事さがMARS RED SKYならではの独特なイメージを織り上げているのだ。緊張感に溢れ、重たく軋んでいるのに、甘い。甘美というよりほかない。不可思議な陶酔に満たされる。

 ふおお。終盤のパートでドラムの連打にキャッチーなコーラスを重ねた3曲目の「THE WHINERY」が最高に好きである。6曲目の「FRIENDLY FIRE」におけるヴォーカルのメロディ、ギターとベースのコンビネーションには平伏させられる。ボーナス・トラックにあたる8曲目の「SHOT IN PROVIDENCE」までを含め、個々の楽曲の完成度は、非常に高い。さらには個々の楽曲からアルバムの全体像が、あるいはアルバムの全体像から個々の楽曲が設計されていったかのような統一性があり、スペーシーでいて、ドリーミーでいて、ポップ・ソングを思わせる一面を持ちながら、アシッドなロックのダイナミクスが漏れなく宿らされているのであった。ヘヴィという観点に絞るなら、ファースト・アルバムの『MARS RED SKY』(2011年)やセカンド・アルバムの『STRANDED IN ARCADIA』(2014年)にあった激しさが『APEX III (PRAISE FOR THE BURNING SOUL) 』には乏しいかもしれない。だが、洗練を経、マニアックなレベルにとどまらないアプローチとスケールとを手に入れていることは明白だ。

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