ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年06月08日
 なにわ友あれ 4 (4) (ヤングマガジンコミックス)

 南勝久の『なにわ友あれ』は、もちろん同作者の『ナニワトモアレ』の続編であって、物語の背景や登場人物の大多数がそのまま移行してきている以上、両者は切っても切り離せない関係にあるわけだが、しかし、本質的にはまったく別個の作品であると考えたい。『ナニワトモアレ』に描かれていたのが平成元年(89年)の風景であるなら、『なにわ友あれ』に描かれているのは平成二年(90年)の風景であり、作中の時間において、わずか一年のあいだに、登場人物たちの物の見方や考え方は、おおきく様変わりしている。たとえば、この、『なにわ友あれ』の4巻で、走り屋のグループ、トリーズンを脱退し、スパーキーレーシングを立ち上げた主人公のひとりであるグっさんが、〈ヒロちゃんらがトリーズンを立ち上げた時とは時代がまた違うやろ? ポリの環状族の取り締まりが日増しに強なっていくのに――そない抗争ばっかりしてられへん!〉と口にする言葉に、それはよく現れているように思う。また、走り屋版国盗り合戦でもある作品の構造に着目するとき、『ナニワトモアレ』において、コマの一つでしかなく、あくまでも動かされる立場にあったグっさんが、『なにわ友あれ』では、アタマとして、さまざまなコマを動かす立場に成り上がっており、戦略的な要素に対するアプローチに変動が見られる。そのことはもしかしたら、「OSAKA KANJO STRUT」から「OSAKA-KANJO-TRIBE」へ、といった副題の違いにも現れているのだろう。さて、もう一つ述べておかなければならないのは、女性の扱いに関して、極端な話、強姦(レイプ)が日常茶飯事的に起こるような状況は相変わらずであるけれども、できればそれを断罪したい意志が、つよまっていることである。当然これは、『ナニワトモアレ』の終盤で、グっさんが、恋人を強姦(レイプ)され、挙げ句、べつの男性に寝取られるという、ギャルゲーでいったら完全にバッド・エンド向きな展開を迎えたことと無縁ではあるまい。が、他方で、もうすこしべつの要因、すなわち軽佻浮薄なナンパの時代が終わりつつある状況の前景化でもあると感じられる。これについては、スパーキーとビート、そしてエニシングによる三つ巴の渦中、〈俺がさらってきた女 こぞってマワして〜〜シャブやらハッパやら〜〜いろいろ教えてやったら〜〜〉と完全に人間性の腐っているベンキによって被害を受けた女性たちの存在を通じ、敵対関係と構図とが一変する次巻以降に、触れられたら、触れる。

 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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