ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年06月06日
 うはあ、「LIPS」のリズム隊って、ビリー・シーンにサイモン・フィリップスなのか。シングルにはクレジットがなかったので、思いもしなかったけれど、そりゃあスピード・メタルにも聴こえるはずである。そのほかにも5曲目の「DISTANCE」では、ベースのビリー・シーンに加え、まあ一緒にスタジオに入ったわけではないのだろうが、カーマイン・アピスがドラム、ジョージ・リンチがギターで参加しており、へえ、と感じられたりもする。とはいえ、ハード・ロックのジャンルから人選されたバックの演奏も、結局のところKAT-TUNというグループに託されたグラマラスなイメージに従属するものでしかないだろう。じっさい、このサード・アルバムとなる『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』に満ちているのは、勢いに押されながら、拙さにずっこけながら、しかしそれらの混在が、何よりも若さを引き立てるような、その若い面立ちから引き出されては、やがて失われることが予感されるような、だからこそ際立ち、胸ときめかせ、狂おしさを誘うような、婀娜っぽさなのだと思う。

 つい先日リリースされた「DON'T U EVER STOP」は入っていないが、それでも「Keep the faith」、「LIPS」、「喜びの歌」の、計3曲のシングルが収まっている。ここからアルバムの方向性がつくられていったと、おそらくは、考えて良いだろう。プログラミングされたオーケストレーションが、オープニングを兼ね、緊張を持続させる1曲目の「T∀BOO」を受け、すでにシングルとしては馴染みのある「Keep the faith」の、あの、いかにも扇情的なギターのリフが響いた瞬間に訪れるクライマックスさ加減ときたら。そしてセンチメンタルな6曲目の「MOTHER / FATHER」をブレイクとし、その後に「LIPS」と「喜びの歌」を並べ、アップになったテンポを落とさず、軽やかなギター・ポップの「un-」を続け、気分の盛り上がりにグラデーションをつけてゆく構成。おおまかにいって、この二つを『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』のハイライトとすることができる。だが当然、それ以外の部分が、すかすか、ではお話にならない。ハイライトをハイライトたらしめ、相対的な価値を十二分にあげるだけのクオリティとヴァリエーションが、他の楽曲には備わっていなければならない。

 3曲目の「AFFECTION 〜もう戻れない〜」は、打ち込みのリズムとアコースティク・ギターのループが特徴的なナンバーで、過去の楽曲でいうと「SIGNAL」や「Lovin'U」(シングル「Keep the faith」に入ってる曲ね)などと同様の構造を持っているが、「SIGNAL」よりぐっとメロウであるし、「Lovin'U」よりもずっとダンサブルであり、そのなかでメンバーが重ねるヴォーカルは、熱っぽく、セクシーである。続く「HELL, NO」で、表情は一変する。重低音にダイナミズムを預け、田中くん(JOKER)のアグレッシヴなラップをアクセントに、夜と街のダークに塗り替えられたイメージを、メロディは歌う。それにしても、先に触れた「DISTANCE」なのだけれど、これがさあ、もしかしたら『cartoon KAT-TUN II You』に収録されていた「サムライ☆ラブ☆アタック」のパワー・バラード版なのかもしれない。演奏は、泣きの旋律を加えながら、抒情的に、ドラマティックに響き渡るのだが、アレンジは基本的にださく、どこかムード歌謡っぽい。さらには歌唱の面において、あれれ、となってしまうところがあるよね。いずれにせよ、ちょっと変な引っかかり方をする。反対に、真っ正面から感傷を伝えてくる合唱がとても感動的なのは6曲目の「MOTHER / FATHER」で、そのせつない余韻の尾を踏みながら、「LIPS」で後半戦を一気に加速するというのは、すでに述べたとおりである。

 通常盤では、10曲目「OUR STORY 〜プロローグ〜」から11曲目「何年たっても」へ、さわやかでポジティヴなポップ・チューンの連続によって、アルバムの幕が閉じられる。が、初回限定盤ではさらに、ファンキーなビートを刻む「SHOT!」とヴォコーダーの印象的な使われ方をする「12 o'clock」、ヘヴィ・メタリックなギターを採用してパッショネイトに展開する「愛のコマンド」に、ハンド・クラップのリズムが心地好い「SIX SENSES」の4曲がプラスされている。いってしまえばボーナス・トラックの扱いに近いのだけれど、これがまた、そこだけでしか(スタジオ音源が)聴けないのが、ひじょうにもったいなく感じられるほどの佳曲揃いで。

 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(08年)
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