ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年11月29日
 Hypnotize

 本質的には2枚組である(らしい)前作『メズマライズ』と本作『ヒプノタイズ』を通じて思ったのは、システム・オブ・ア・ダウンというバンドは、ラディカルやエキセントリックであることよりも、ドラマを指向するサイドに移行しているのかな、ということであった。もちろん、この場合のドラマというのは、たとえばグリーン・デイが『アメリカン・イディオット』などでやった、ああいう物語への回帰を指さない。現実をディフォルメすることで、あたかも全体性が回復したかのように見せるのではなく、断片的なエモーションを、断片的なまま、現実の起伏に沿わせ、上昇と下降のダイナミズムを描く、そういう手つきである。まるでブラインド・ガーディアンが、6分も7分もかけ、構築してゆく大仰なヘヴィ・メタルを、システム・オブ・ア・ダウンは、わずか2、3分の枠のなかに圧縮してしまう。その分、秒単位のサウンドは、密になり、濃くなっている。そのようにして成り立つ過剰なドラマをもって、ラディカルであったり、エキセントリックであったりと見なすことはできる。が、しかし、まあぶっちゃけて、残念ながら、僕はこれを聴いて、興奮などはしないのであった。理由はシンプルで、ドラマはどのようなものであれ、結局はドラマにしか過ぎず、ある程度の予定調和に終わる宿命だからである。いや、それはそれでぜんぜんオーケーなのであるけれども、システム・オブ・ア・ダウンに対して、そんなものは望んではいませんでした、というわけだ。ただ、タガの外れた阿呆さ加減に、あはは、という風に笑っていたかっただけなのである。そして今回、それは果たされなかった。欠点をふたつ。ひとつには、初期の頃のミクスチャーかつクロスオーヴァーの様相が大幅に損なわれ、直線的な運動に終始するようになった。たしかに、部分部分においては、トリッキーなのではあるが、そういった細部自体が、しかしフックとして機能しているのではないだろう。もうひとつには、ヴォーカルのサージ・タンキアンを措いて、ギターのダロンがかなり歌っているのだが、それがひじょうに萎える。ハーモニー風になっているところは、それほど気にならないのだけれども、単独でうたう場面になると、とたんに冷める。それはちょうど、アリス・イン・チェインズでジェリー・カントレルが、俺は歌もイケるんだぜ、ってな具合に振る舞う、あの、寒々しい虚栄心の反映を思い出させる。つうか、ごめん、ダロンの声質があんまり好きじゃないんだ。とはいえ、クオリティはさすがに群を抜いて高いので、べつにこれが売れることに関しては、否定するつもりもない。個人的には、システム・オブ・ア・ダウンのキャリアのなかで、いちばん低い点数をつけたくなる作品ではあるけれども、それはそれ、趣味の問題といえば、そのとおりである。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽。
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