ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年05月12日
 毎回、永田晃一の『Hey!リキ』を取り上げるたびに批判的な内容になってしまうのは申し訳ないのだけれども、いやまあ、それだけの深刻さが含まれていると考えていただきたい。さて。個人的に秘かにだが「50年組」と呼んでいる男性マンガ家たちがいる。端的にいえば、高橋ヒロシやハロルド作石、田中宏などの90年代を代表するヤンキー・マンガを残した作家の影響下にある、もしくは直接の弟子筋にあたる一群のことで、柳内大樹(昭和50年生)やSP☆なかてま(昭和50年生)、たーし(昭和49年生)、鈴木大(昭和48年生)、真島ヒロ(昭和52年)などの、要するに昭和50年(1975年)を前後して生まれた人びとが、それである。もちろん、永田(昭和49年生)も含まれているのだが、おそらくは『Hey!リキ』にこそ、その「50年組」に共通する問題点が、もっとも具体的に現れているように感じられる。つまり、先人の編み出したイディオムを借用するのは良いとしても、そこからの発展性がほとんどない、新しさが見られないということだ。もちろん、継承したイディオムを無理やり崩す必要はない。それが完成し、すぐれているのであれば、なおさらだろう。しかし、そうしたイディオムの再現にかかずらうことが、かならずしも作品の質をより良くしてはいないし、結果的に、そうしたイディオムに特有の、効果抜群な機能を低下させてしまっている。この12巻では、天坊工業の内部抗争にいよいよ決着がつけられるのだが、これまでの過程を含め、はたしていったいどこに読み応えがあっただろうか。そもそものアイディア(原案)を提供した高橋ヒロシならこう描くだろうね、のイメージを熱心にコピーしていようと、キャリアの違いからくる力量の差ははっきりとしていて、それを他の面でカヴァーする気がないんだから、残念な結果になるしかないんだ。それから、まさか驕っているわけではないだろうね、登場人物の描き分けが、だんだんと雑になっているのも、きびしい。ファッションには疎いので、短ランの下から白いTシャツをはみ出させ、だぶだぶのボンタンにウォレット・チェーンという着こなしがどれだけナウいのかは知らないけれど、みんながみんな同じ格好をしているばかりか、顔の表情にヴァリエーションもなく(かろうじて髪型だけにあるのみで)、遠目でもアップでも誰が誰だかの区別がつきづらいのは、作者の手抜きでなければ、読み手に対する配慮の行き届いてなさを痛感させる。

 10巻について→こちら
 9巻について→こちら
 
 『ランディーズ 完全版』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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