ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年05月05日
 わずか0.0000007秒の遅れが命取りになるような超高速度の戦い、ああ、こういうはったりのきいたところが最高に好きだよ。ただし、それはもはや、絵に描いてしまえばスピードが死ぬのと同義ともいえる領域であって、その困難さを引き受け、よくぞここまでマンガ化したものだと思う。いや、あるいは逆に、それが限界だからこそ、ここで物語が終わることは必然であったのかもしれない。この3巻で、夢枕獏(原作)と野口賢(作画)のコンビニよるサイキック・アクション『狗ハンティング』は、フィニッシュを迎えたわけだが、正直、ストーリー的なカタルシスがもうちょいあれば良かったかな、という気もするけれど、念流という視覚できない手段を用い、さらには認識を完全に上回る刹那で繰り広げられるバトルには、たいへんわくわくさせられた。人間と人間を超越する者の相克というテーマは、同コンビの以前作『KUROZUKA -黒塚-』から引き継がれたものでもあるし、もちろん夢枕の諸作品(小説や原作をつとめたマンガ)に通じるものでもあるが、そのことが『狗ハンティング』では、わずか0.0000007秒の遅れすらも許さない最強性を主人公の天城狂に喚起している。さすがにそこから先は、作中のレベルにあっても、作外のレベルにあっても、人間の手には負えまい。〈“狗”と人の間に生まれし人間の飼い犬〉である“念呪者”の呪縛を断ち切り、まさに出奔せんとする狂を誰も引き止めることができない、結末の在り方は、ちょうど二重の意味を持たされているようにも見える。

 1巻について→こちら

 『KUROZUKA -黒塚-』
  10巻について→こちら
  9巻について→こちら
  8巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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