ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年04月26日
 ベイビー☆お手をどうぞ (フラワーコミックス)

 畑亜希美は、この、作者にとって初の単行本にあたるらしい『ベイビー☆お手をどうぞ』ではじめて知ったマンガ家であるが、いや、これ、すっごく、楽しく、とたんにファンになった。駆け出しのネイリストと、彼女がつとめる店のオーナーとが、行きがかり上、ニセの恋人を演じることになる、というのが表題作(シリーズ)のおおまかなストーリーで、まあ、ありがちであるといえばいえる成り行きであるし、どじで垢抜けないヒロインをサドっ気抜群なイケメンさんが意地悪に扱う、そのような関係性のパターンにも珍しい面はいっさいないのだが、にもかかわらず、既存の作品には見られないような、清新な空気がそこいら中に満ちあふれていることに、おどろく。おそらくは、全体的にコメディの要素がつよく、作中人物たちがみなユーモラスだというのが、おおきいのだろう。天然的にぼけているヒロインのそのみや、たまたま彼女を自分の縁談話に巻き込んでしまったオーナー心二の腹黒さ、口の汚さはもとより、ワキの人びと、なかでもそのみの二人の姉の存在が強烈で、彼女たちのアヴァンギャルドなアドヴァイスと猥談をさわやかに行う様子には、思わずツッコミを入れざるをえない。おまえら、男とどんな付き合いしてんだよ、そして何よりも、ヒモパンにすべてをかけすぎである。しかしもちろん、基本的にはラヴ・ストーリーなので、ロマンティックに決めるべきところはばっちり決まっており、そのみのまっすぐな性格に、押され、絆されてゆく心二の困った表情が、たいへん、かわいらしい。単行本には、表題作(シリーズ)のほか、「ナチュラルに恋をして」と「ぼくのもの」の二本の読み切りが収められてるけれど、とくに「ナチュラルに恋をして」おける、愁嘆場なのに気持ちのいいやりとり、それからそこでの、女心の繊細で大胆な変化のつけ方は、一読に値する。とりあえず、表紙や題名のイメージで中身を判断し、手にとるのを避けてしまうと損をするタイプの、典型的な良作であるのは、まちがいない。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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