
ごくふつうの女子大生である茜の、芸能界を舞台に、フットサルを手段とする自分探しも、ようやくゴールを迎えた。岡田惠和が原作を提供し、なかはら★ももたが作画をつとめた『あかねSAL☆』の4巻である。主人公の悩みが恋愛に収束するわけでもなく、社会的にビッグ・サイズの達成が果たされるわけでもなく、清々しい気分と進むべき道を得ることでピリオドが打たれるあたり、岡田が脚本を書くテレビ・ドラマにときおり見かけられるパターンであるし、ストーリーの進行上、ワキのアイドルたちのがんばりや輝きと対照にならざるをえないとはいえ、いささかヒロインの成長がしょぼすぎ、テーマのレベルでいえば、今日とくに発展性のあるものではないのだけれども、なかはらのつくり出すテンポは気持ちよく、キュートなデザインの登場人物らも生き生きと動き、全体の印象は、けっして悪くはなかった。自分探しという題材は、うまく扱わないと、エンターテイメント性に乏しくなってしまい、この作品ではもろに悪所となってしまっている部分でもあるので、茜の芸能界での活躍に、あとちょっと比重がおおきく置かれていたならば、より良い内容になっていたと思うが、まあしかし、それは岡田に望むべき表現ではないのかもしれない。
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