ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年03月06日
 プピポー!1 (Flex Comix)

 ときどき、押切蓮介のマンガを読んでいて、困るよ、となるのは、笑ってやるつもりが、つい泣かされてしまうことである。いや、君は押切のマンガで感動したことがないのか、弱ったな、それは話が合わなさそうだぞ、しかし、この『プピポー!』の1巻に目を通してもらえれば、すこしは、言っていることがわかってもらえるのではないか、と思う。両親には可愛がられているが、霊感があるばかりに、クラスからはハブられている小学五年生の少女、若葉は、あるとき、道ばたに捨てられている変な生き物、というかオバケを拾う。ポーちゃんと名づけられ、プピポーと鳴く、そのオバケのフカフカさ加減は、塞ぎがちな若葉の性格を、じょじょに明るくしていくようであった。これがおおまかなアウトラインであるけれど、とにかく、マスコット役であるポーちゃんのユニークなかわいさが反則的で、コマのなかにちっちゃく出ているだけでも、なんだかニヤニヤしてしまう。なんとも形容しがたい表情で〈カタコトだけど日本語を話す〉んだぜ。そういったポーちゃんの存在が、ちょうどやわらかなクッションがそのためにあるように、シビアな学校生活を送る若葉の心をそっと解きほぐす、というのが『プピポー!』の魅力のひとつなのだが、もうひとつ、オカルト好きな転校生、礼子と若葉のあいだに芽生え、次第につよくかたく結ばれてゆく友情が、それのストレートに描かれていることが、こちらの涙腺をゆるめてくれちゃうんだから、まいる。礼子の傍迷惑なところは、ひっきょう汚点であるはずなのに、どうしてこうも良い子に見えてしまうんだろう。怪奇現象への関心、思春期的な共感、ペットに対する愛情、と、この作者の得手とする部分が、あくまでもポジティヴな方向へとリリースされ、とても奇抜で、しかも笑え、なおかつあたたかな物語を成り立たせている。それこそ、大人から子供まで、できれば多くに届いて欲しい、素直に良い作品である。

 『ゆうやみ特攻隊』第1巻について→こちら
 『おばけのおやつ』について→こちら
 『ドヒー! おばけが僕をペンペン殴る!』について→こちら
 『マサシ!! うしろだ!!』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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