ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年10月31日
 SWWEET 1 (1)

 かつて舞城王太郎の「ピコーン!」をコミカライズした青山景の、初連載作品にあたるのが、本作『SWEEET-スウィート-』である。遠山さくらと幼馴染みであったススムとツトムの双子の兄弟であったが、10歳のとき、弟のツトムは謎の失踪を遂げる。しかし中学にあがった頃のことである。ふたたびツトムは姿を現した、ススムが鏡の前に立ったときだけ、彼に向かって話しかけてくるのだ。一方、さくらの学校生活は惨憺たるものであった。クラスメイトの女生徒たちから、ひどいイジメに遭っていた。それを助けたいと思いながらも、ススムは自分の臆病さの前に足がすくんでしまう。それを見つめるツトムは、まるでススムの弱さを見透かしているみたいだった。と、この1巻目を読む限り、詰まらないかおもしろいかと問われれば、いいんじゃないと答えるのだけれども、いや、でも、これ、どっか舞城王太郎バイアスがかかってないか、そのような疑問を呈したくもなる。異次元に渡ったツトム少年って、要は、ツトム・ボーイ(『好き好き大好き超愛してる。』)じゃねえのかしら、わ、自称探偵っぽい人出ちゃった、などと。前半はそれほど感じなかったのだが、ストーリーが進行するにつれ、どうもそういう風に思えてしまうのは困ったものである。というのも、濃度と密度と構成においては、舞城の小説ほどには達していないからにほかならない。また、暴力と内省の描写については、90年代以降のサブカル系マンガ家にありがちな、黒ベタどばーんの象徴的な語りがじゃじゃーんといったふうであり、そのへんも類型を逸しえていない。のだが、少年の視点から少女の表情をアップで捉まえた場面には、すこしのワンダーが宿っている。そこにだけ、飽いた向きのある閉塞感を、一気にぶち抜く力がある。今後の展開で、それをどのように使っていくのかは、ちょっと気になるところではある。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ。
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