
ドイツのエモ・アクトであるペイル(PALE)と名前が被るからどうかなのかは知らないが、THE PALEからTHE PALE PACIFICに改名したアメリカのバンドの、初の作品となったEP『RULES ARE PREDICTABLE』に含まれていた「IN THE SUN PT.1」の別ヴァージョン「IN THE SUN PT.2」で幕を開ける、ファースト・アルバム『URGENCY』は、同一のフレーズとメロディを用いながらも、軽やかなギター・ポップ風の疾走が穏やかにポスト・ロックな曲調へと、アレンジのまったく変えられたそのナンバーが示すとおり、フィジカルな触覚よりも聴き手のイメージへと訴えかけてくる、そういうサウンドに仕上がっている。THE PALE時代の『GRAVITY GETS THINGS DONE』と比較すると、メロディに内在されていたスタティックなトーンを抽出し、中軸に置いたソング・ライティングの為された感じだ。それはちょうど、あのデス・キャブ・フォー・キューティー(DEATH CAB FOR CUTIE)が4枚目の『トランスアトランティシズム(TRANSATLANTICISM)』でみせた転回を、僕に思わせる。つまり、アメリカン・オルタナティヴのサブ・カテゴリーであるようなエモというジャンルを逸脱し、広義の意味でのインディ・ミュージックを包括しえるレベルに達する、ということである。そのことは、メンバー自身がプロデュースを兼ねながらも、『RULES ARE PREDICTABLE』のざらざらとした部分を、丁寧にヤスリがけしたかのような、マイルドな音作りへと移行していることから、意図的であることがわかる。ちなみに「SUCKER PUNCH」や「IDENTITY THEFT」は、両作品に重複した楽曲となっているが、ここでは、解像度は増しながらも、抽象性の高まったヴァージョンが披露されている。じつは、この手の、日本盤が出たとしたらSOME OF USの人がライナー・ノーツを書いてそうげなアーティストでは、個人的にラスト・デイズ・オブ・エイプリル(LAST DAYS OF APRIL)周りのスウェーデン勢(たとえばARIEL KILL HIMとか)のほうが好みであったのだが、いや、しかし、これを聴いたあとでは、やっぱアメリカのアーティストも侮っちゃいかん、と、いたく刮目する気にもなるのだった。
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