ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年10月30日
 『月刊少年シリウス』12月号掲載。これにて 完結の巻である。なるほど。これまでに語られてきたストーリーが、ある種の事後報告であり、その記述がルール違反を犯しているかどうかといったやり取りを着地点に置き、じつはそれが全体にかかっているところは、前作『ダブルダウン勘繰郎』のパターンを踏襲したものだといえるし、流水大説を意識したメタフィクショナルな構成だといえるかもしれない。が、どうだろう、西尾維新という作家に対しての興味ではなくて、いちミステリとして読んだ場合、やや肩すかしな結末のように思える。とはいえ、僕などは、そういった二通りの在り方においては、前者寄りの人間であるので、個人的に、この作者に一貫して見ている次のようなテーマ、つまり、もしも唯一無二のものがあるとしたら、それはいったいどのようにして代替不可能として判定されるのか、といった部分に関しては、それなりに納得のいく内容ではあった。たとえば、ある登場人物は、この回の冒頭で〈私はまだ、仕事をし終えていない。役目を果たしきっていない。存在を証明し切れていない〉といい、それが後ほどの段階で〈仕事をやり終えに――ゆくとしよう。役目を果たしにゆこう。存在を証明しに――ゆこう〉と反転させられる。因果律のなかで、定められた宿痾を一身に引き受けながら、それでも歩を進めようとする、あの、西尾維新式のカタルシスがまっとうされている。まあ一方で、でもそれってさあ、ただの手癖で書かれているだけじゃないの? といった疑問が、ふと思い浮かぶような、そういう物足りなさが残ることは、正直、否定しない。このままの状態で、単行本としてまとめられた際には、けっこう酷評されそうな感じではある。

 『トリプルプレイ助悪郎――第五回「五々」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第四回「四季」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第三回「第三」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第二回「二人」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第一回「唯一」』について→こちら

 西尾維新その他の作品に関する文章
 『ひたぎクラブ』について→こちら
 『ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種』について→こちら
 『ネコソギラジカル (上) 十三階段』について→こちら
 『ニンギョウがニンギョウ』について→こちら
 『コドモは悪くないククロサ』について→こちら
 『タマシイの住むコドモ』について→こちら
 『ニンギョウのタマシイ』について→こちら
 『新本格魔法少女りすか 2』について→こちら
 『新本格魔法少女りすか』について→こちら

 『総特集 西尾維新』ユリイカ9月臨時増刊号について→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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