
表題作「太陽が呼んでいる!」の絵柄は、今どきではあるにもかかわらず、それがなぜか大昔の竹下堅次朗(現・竹下けんじろう)に似ているというのが、まあ余談にしか過ぎないのだけれど、マンガ表現における作画上の不思議ではある。さて。しばの結花、初となる単行本『太陽が呼んでいる!』には、ぜんぶで五篇の読み切り作が収められていて、そのすべてが、両想いになる物語といった部分で共通している。また、そのうち、「太陽が呼んでいる!」、「風の中のオレンジ」、「名前のないファンレター」の三篇には、スポーツする男子という共通項があるのだが、あんがいスポーツという概念に青春の印象を頼ったそれらよりも、率直にラヴ・ストーリーしている「ウソと君とピアスの理由」と「スターライト・ハイツ」の二篇のほうが、出来が良いように思われた。とくに「ウソと君とピアスの理由」を推したい。恋愛というものをまだ良く知らないヒロインは、友人たちから好きな異性のタイプを尋ねられ、適当に〈自分と同じ耳(トコロ)にホクロがある人〉と答えたため、その条件にちょうど合う男子を紹介され、行きがかり上、交際することになってしまう。以上が事の起こりであり、こうした仮初めの恋愛からマジになってゆく過程が描かれる。先ほど、ここに入っている作品に共通する点を挙げてみたが、そこにもうひとつ加えるとすれば、どれもヒロインがハッピー・エンドに向かい目の前にある障害を飛び越えようとする姿を捉まえている、といえる。演出のわかりやすさもあって、「ウソと君とピアスの理由」の跳躍が、もっともダイレクトに、その意志の逞しさを感じさせる。
