ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年10月28日
 短篇ベストコレクション―現代の小説〈2005〉 

 絲山秋子「ベルエポック」は、徳間文庫『短編ベストコレクション 現代の小説2005』に収められている。初出は『野性時代』04年の7月号だったらしいが、見逃していたので、この際に読んだ。さびしい風がそよそよと吹く、そういう内容である。婚約者を亡くした、友人のみちかちゃんは、桜のつぼみが膨らむ頃、仕事をやめ、田舎である三重に帰るのだという。引っ越しを手伝いに行った〈私〉は、彼女との友情の、ひっそりとして儚い終わりを知るのだった。ものすごく短い作品であるが、自己と他者とのあいだにある阻隔を、さりげなく忍び込ませた話のつくりは、じつにこの作者らしいパセティックな余韻を、深く、残す。〈カーステレオからは、昔流行ったブランキー・ジェット・シティの『小さな恋のメロディ』が流れていた〉。彼女は再会の約束だけを残して車を走らせた。でも、もう二度と連絡のこないことを、〈私〉は知っている。別れの告げられないまま、遠く遠く離れてゆく、その残酷な気配が読後を包んだ。

 絲山秋子 この他の作品に関する文章
 『ダーティー・ワーク 第一話 worried about you』についての文章→こちら
 『へたれ』についての文章は→こちら
 『沖で待つ』についての文章は→こちら
 『ニート』『2+1』についての文章→こちら
 『スモールトーク』についての文章は→こちら
 『逃亡くそわたけ』についての文章は→こちら
 「愛なんかいらねー」についての文章は→こちら
 『袋小路の男』についての文章は→こちら
 『海の仙人』についての文章は→こちら
 「アーリオ オーリオ」についての文章は→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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