ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年10月26日
 CRAZY FOR YOU 6 (6)

 誰だってすこしぐらいは心のなかでSOSを発している。として、でも、それがどこにも届いてないなあ、と感じるとき、自分は見捨てられている、絶対に救われえないんだ、と思ったりもするんだろうか。いや、ちょっと待って、違うよ、という。君の声はちいさすぎるんだ、あるいは、余計なノイズがあちこちで邪魔している。そのせいで、いつも、ひん曲がって、よじれて聞こえる。この距離は遠すぎるのかもしれない。だから、もうちょっと、近づく必要があるのかもしれなかった。と、若々しくも切ない片想いと友情を描いた椎名軽穂『CRAZY FOR YOU』、これにて完結である。すれ違うぐらいなら、交わらないほうがマシだ、といわんばかりの前巻からの続きで、この巻は、わりと暗めなトーンでもって幕を開ける。ユキは、登場したばかりの頃のように、心を閉ざし、やさぐれている。その悲しみに幸が気づく場面、いいシーンである。泣ける。泣けてきて困るのであった。作中で幸が回想するとおり、ここでは、前半のクライマックスがもう一度やり直されている。しかもユキと幸は、そのときとは、立場をちょうど正反対に違えている。かつては幼すぎて、想いのうまく伝えられなかった幸が、まっすぐな声を響かせる、だが、それに答えることができないほどに、ユキはもう恋愛に期待を持てず、その自己嫌悪はひどく、深い。〈さっちゃん、おれは朱美を信じてたわけじゃない〉〈信じたかっただけだ……〉。自分が他の何ものでもなく、ただ自分であることのつらさを知る幸は、だからこそ、これでお終いなのだとわかる、最後にちゃんと笑う、いつかユキも笑えるようになれるって願って信じて、そのことに胸が痛くなる。ビター・スウィートハート。しかし、すべての素敵な物語は、ハッピー・エンドにならなければならないのである。というわけで、ユキの親友である雄平と赤星が、やっぱりいいなあ。良いところを持っていく。個人的な好みをいえば、僕などは赤星くんをチョイスしたいし、プッシュするね、いや、むしろ彼と付き合いたい勢いだ。ガッツあふれる王子さまだろう。とにかく、である。いろいろな確執がクリアーになっていきながら、ラストに向かう道筋が、とてもとても鮮やかで、なんか、こう、じーんときた。人はなんのために生まれてきたのかと問われれば、恋をするために生まれてきたのだよ、と力強く断言したい今の気分だ。

 第5巻についての文章→こちら
 第4巻についての文章→こちら
 第3巻についての文章→こちら
 第2巻についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ。
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