ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年10月25日
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 情報通じゃないので、どういうわけか事情は知らないが、当初は今夏にV2 RECORDSからリリースの予定されていたNEONのデビュー・アルバムが、どうも未だにリリースされていない様子なのである。すくなくとも僕は売られているところを見かけたことがないし、海外のも含めアマゾンやHMVなどのサイトを調べてみても、どうやら購入が不可能な状態になっているのであった。しかし、ひとまず彼らのサイトに飛ぶと、全曲フル試聴オーケーな状態なので、仕方なしに、それを聴くことはできる。というわけで、正式な作品のレビューではないけれども、その印象をここに書き留めておきたい。

 NEONは、オーストラリアの3人組であり、イギリスではグラハム・コクソンの主宰するレーベルTRANSCOPIC RECORDSからシングル・デビューを果たした。そのサウンドを為しているのは、はっきりいって、『フェイズシフター(PHASESHIFTER)』期のレッド・クロス(REDD KROSS)へのオマージュだといえる。じじつ、どのシングルかのプロデュースには、スティーヴン・マクドナルドがあたったりもしていたはずだ。そのような意味では、増田勇一が編集長をしていた90年代頃の『ミュージック・ライフ』誌が得意とするような、ディストーショナル・パワー・ポップ風の趣である。

 そういった傾向は、もちろんフル・アルバムにおいても、まっとうされているみたいだ。デビュー曲でもある冒頭「A MAN」からして、加減の効いたラウドなギター・ワークのなかをキャッチーなコーラスが漂う、女性ベーシストの重ねるハーモニーが、ひじょうに心地よい。トリオ編成ということで、隙のある音像であるけれども、その適度にラフなところが、気分を高揚とさせる。ビートルズ・フレイヴァーの濃く出た2曲目「FRIEND」において、スウィートの度合いはさらに強まり、それを受け継ぐのがセカンド・シングルでもあった「HIT ME AGAIN」である。HIT ME AGAINというメイン・フレーズもそうだが、いかにもギター・ポップ調のクリシェを多用した展開は、チープ・トリックを彷彿とさせながら、カラフルにバブルガムなイメージを形成している。

 ドラムのアタックからメロウなラインが引っ張り出される4曲目「LAPS IN CONVERSATION」の哀愁さ加減にしっとりとすれば、5曲目のバラード「SUMMER RAIN」で、その感情はより深く掘り下げられる。こうした楽曲の繋ぎに、そのセンスの良さが、垣間見られる。次いで、ややヘヴィなグルーヴを聴かせる6曲目「DIZZINESS」である。ここで、ヴァラエティが、ぐっと拡げられる。7曲目「HAPPY GOING NOWHER」というタイトルどおり、泣き笑いのアンビバレンツが切なげにうたわれると、8曲目「PEOPLE INSIDE」のアコースティックな調べをワン・アクセントにして、ハードにドライヴする9曲目「NEW DIRECTION」を経たのち、アルバム中もっともランニング・タイムの長く、スローでグランジィなナンバー10曲目「ALL I WANT」が登場するのであった。中盤、静かなパートからの盛り上がりが、懐メロを越えて、普遍に届きそうなノイズを導き出す。ある意味、クライマックスだろう。

 穏やかなトーンの11曲目「INTO YOUR EYES」は、幕引きに相応しく、序盤の弾き語りから、じょじょに力がこもり、後半、インストゥルメンタルは過剰にドラマティックな表情をみせると、やがてデクレッシェンドに消え入ってゆく。そうした意味で、そのあとのラスト・ナンバー「EVERYTHING」は、まさにアンコールに値する、これまで以上に力強い演奏が、きっちりとした締めを見事に決めるのであった。全体の印象を、さっそうとした、明朗なものにまとめ上げている。いや、これはほんとうにすごく良く出来た内容のアルバムだと思う。ちゃんとした作品の形式で、しっかりと聴きたいなあ、と願う。願ってやまない。

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら(音出ます)


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽。
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