ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2004年10月20日
 講談社文芸文庫。小島信夫は『抱擁家族』しか読んだことがなかったけれど、村上春樹の『若い読者のための短編小説案内』が文庫化されたので、それを読んでいたら、短編も読んでみたくなったのだった。とはいえ、ここには村上が取り上げた「馬」は収録されていない。芥川賞を獲った「アメリカン・スクール」などが入っている。
 こういう昔の(っていっていいのかどうかはしらない)小説を読んで、僕が感じるのは、僕という人間は時代背景みたいなものをも含めて、物語に感情移入するのかな、ということだった。ほとんどの短編が、戦後日本を舞台としている。ある種の秩序の乱れみたいなものを扱っている感じがする。秩序の乱れは、既存の価値観に、べつの価値観が入り込んでくるようなところに由来している。ただ、そういった細部よりは、やはり登場人物の自意識のほうが気になってしまうので、その自意識を形成する社会がどのようなものか、前提を共有していないため、考えるのがすこし読書の邪魔をするというのはあった。とはいえ、そのことを差し引いても、非常に読みやすく感じられたし、すらすらと読み終えてしまった。それが作家の実力であり、作品に内在する本質的な魅力なんだろうな、とは思う。
 一般的な評価は知らないが、個人的には、「愛の完結」みたいのが好みである。ここにある、自己完結が他者の排除へと結びつくような自意識と、佐藤友哉の小説や綿矢りさの『蹴りたい背中』における自意識とを比較してみたりすると、おもしろいかもしれない、そういう気がした。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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