
なぜ最近のヘヴィ指向なバンドはみな一様にテクニカルなのか、という疑問がひとつあって、それっていうのは要するに、ディシプリンの季節として00年代が存在していることの反映なのではないか、などという気がしないでもないのであった。それこそキング・クリムゾンのロバート・フリップが、60年代が終わったときそう感じたように、である。というのも、90年代のグランジやメロディック・パンクというのは、いってみれば、インスピレーションの産物であったわけだが、それらが秩序化してしまった今日においては、そういった直感に頼った衝動と創造は、ふたたび困難になっている。そこで、サンプリングの文化になびかない人々は、ディシプリンに励まなけらばならなくなり、結果、シーン全体が高度に抽象的なサウンドに覆われるようになった。と、このような推測を立てることは、不可能ではない感じがする。さて。THE MASSは、ヴォーカルがサックス・プレイヤーを兼ねる、カルフォルニアはオークランドのバンドであり、FROM MONUMENT TO MASSESのメンバーがベースで参加したりしていて、わりとアヴァンギャルド風味な演奏をしている印象なのだけれども、音像自体は、けっこうカッチリとまとまっている。本作『PERFECT PICTURE OF WISDOM & BOLDNESS』は、そんな彼らのセカンド作にあたる。個人的な好みをいえば、03年の前作『CITY OF DIS』のほうが、忙しなくガヤガヤしていて、アドレナリンが騒ぐ思いであるが、しかし『PERFECT PICTURE OF WISDOM & BOLDNESS』が、それに劣っているのかといえば、もちろん、そんなことはない。エネルギーの放出は、より直線的になったが、細部におけるアレンジは緻密さを増しており、絶え間ない流動のなかに、隙間なく緊張が張り巡らされている。長尺ナンバーが増えたのも、そのことの影響だろう。構成能力の高さを伺わせる。いうなれば、カオティック(混沌としている)というのではなくて、ディシプリン(訓練と規律)の生かされた、そういう作品である。
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