
ああ、こういう展開に持っていくのかあ。驚くには驚くにしたって、びっくりサプライズというほどではないのだが、しかし、新規登場人物を投入した結果、作中における人間関係のバランスをほとんど意味なく攪拌しただけの、前巻の悪い流れから、ひとまずストーリーを立て直し、さらにはあたらしい局面をもたらすことにも成功している。だいたい、スモール・サークルに限定された恋愛劇は、シリアスになればなるほど、どうしたってしょぼいお話になっていかざるをえない。したがって、そのしょぼさに対していかにも価値があるかのごとく演出を施す手腕こそが、作品の質を決めてゆく。言い換えるなら、酒井まゆの『ロッキン★ヘブン』は、そうした部分に関し、この6巻で、あきらかな復調を見せているのである。修学旅行の最中、紗和と藍のカップルは、お互いの未熟さゆえ、好き合っていながらも破局を迎える。それをきっかけにして、というわけでもないのだろうけれど、今度は彼らの周辺に恋の風が吹く。紗和は、クラスメイトの晶が、藍の親友の椿に、どうやら惹かれているらしいことに気づいてしまうのである。そういった事情を知らず、藍と椿のグループにいる草太は、意を決し、晶にアプローチをしはじめる。このことの波紋がやがて、紗和をめぐり、藍と椿のあいだに、微妙な波紋を投げかけることになるのだった。ここでのエピソードは、基本的に晶メインで進む内容で、彼女がオタク的な趣味を持っている云々はともかくとしても、恋というものをまだよく知らない少女の胸の内にある脆さと強さが、いくつかの良いシーン、そしてささやかな感動をつくり出している。
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