ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年10月20日
 Honey Bitter 3 (3)

 人の心が読めてしまう特殊な能力を持つ主人公、珠里は、それを活かす場として叔母の調査室で働いている。そこには同僚として、かつて付き合っていた吏己がいるのであったが、前向きに生きようとする珠里は、彼に対して、以前ほどの戸惑いは感じなくなっている。それは成長であると同時に、アルバイトとして一緒に働く陽太の、その明るさに感化されたせいであるのかもしれない。と、小花美穂『Honey Bitter』の3巻である。小花のマンガからは、ある種の傾向を、見て取れる。それは、いかにしてトラウマと和解するか、といったものである。和解というのは、過去に受けた心の傷を回復する、というシンプルな乗り越えの体ではなくて、どうやって折り合いをつけるか、という感じになるかもしれない。おそらく代表作になるのだろう『こどものおもちゃ』の紗南と羽山の振る舞いは、まさにそうしたものであるように思えるし、あるいは近作でいえば、『あるようでない男』における、あの回復しないインポテンツもまた同様の成り立ちをしている。『Honey Bitter』の場合、珠里の損なわれた内面は、性的に乱暴に扱われたことを原因とする、男性嫌悪というカタチで現れている。前巻からのエピソードの流れでもって、この巻では、珠里と陽太の間の距離が、ぐっと近くなるのだけれども、しかし、やはり珠里は、陽太の想いをうまく受け入れられない。なぜならば、男女が付き合えば、その先にはどうしてもセックス(性交)が、想定されてしまうからだ。〈全開の愛情で 全力で欲望をおさえている〉陽太のやさしさに、心を開きつつあった珠里であったが、〈やっぱりダメだ 体触られるのはいやだ 怖い 血の気が引いた〉として、最終的には、彼を拒んでしまう。このあたりのヤキモキ感が、もろもろ関わる犯罪事件よりも、つよく物語を引っ張っている。作者の体調不良のため、現在は掲載誌での展開は不定期であるということだが、それが気にならないほどに濃密な内容になっていると思う。いっけん軽いタッチに見受けられるけれども、そこらへんの上辺シリアスな表現よりも、ぜんぜん上等なことをやっている。
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | マンガ。
この記事へのコメント
この本って四巻もでるんですか?
  もしかして3巻で終りとか・・・?
 
Posted by 麗奈 at 2006年02月26日 22:39
いま現在は休載してますが、
続き気になるので再開してくれたら有り難いですね。
Posted by もりた at 2006年02月27日 12:40
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック