ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年02月10日
 白亜紀恐竜奇譚竜の国のユタ 7 (7) (少年チャンピオン・コミックス)

 完全に長篇ペースになってきた所十三の『白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ』であるが、安定しつつけっしてだれていないのは、主人公であるユタをめぐるシンプルな小状況の変化と作品世界である五王国をまたがる複雑な大状況の変化とを、パラレルに進行させながらも巧みにさばき、いくつかの接点と伏線を通し、あくまでも一個の物語としての全容をこちらに伝えてくるからだと思う、というのは以前にも述べた気がするけれど、この7巻では、そうしたさい作者がフィクションに対し、どのような操作を行っているのかが、とてもわかりやすく示されている。さらわれ、平原王国の闘竜場に立たなければならなくなってしまったユタは、パートーナーであるパキケファロサウルスのジサマとともに、獰猛な人食い竜ドリュプトスに立ち向かう。これと平行するかたちで、15年前に一度見られた凶兆が、ふたたび五王国各地で目撃されるシーンが挿入される。このとき、作中の時間の動きを、現実のそれに照らしてみたならば、おそらく、厳密にはなっていない。同時発生であるような出来事が、演出上の必要にあわせ、ごく自然にずらされ、そして表現されている。もちろんそれは、手法としたらきわめてベーシックなものであろう。だが、そのベーシックな手法のポイントを押さえ、外さず、効果的に用いることで、ユタのピンチと世界規模の攪乱という異なった局面の、同一のベクトルで展開させられていることが、たぶん週刊連載(初出時)の段階においてでさえ、てきめんにアピールされているのである。言うまでもなく、これは作者が過去作(とくに『特攻の拓』)において、もっとも得意としたところでもあって、そういった基本がしっかり出来ていれば、流行り廃りとは無縁な作風をそのままに、日常的なドラマでもスケールのおおきなファンタジーでも、いかなる舞台であっても十二分に通用することを、証明している。

 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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