ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年01月27日
 幸田もも子の三冊目となる作品集『姐さんカウントダウン!』には、ぜんぶで五篇の読み切りマンガが入っている。そのうち、07年に発表された表題作「姐さんカウントダウン!」と「素直になれないアルビレオ」は、表層では判断できない人間の内側の価値とでもいうべき、共通のテーマを持っている。ヤクザの四代目に見初められたヒロインが、彼の強面とは裏腹な素直さに惹かれてゆくというのが、前者の筋で、後者では、口汚いせいで性格までも悪いと周囲から見なされているヒロインが、クラスメイトたちに心を打ち明けられるようになるまでを、下宿人の男性との出会いを通じ、描く。どちらもワン・アイディアのみで成立させられているようなストーリーであるけれど、誰にも理解されない、そういう姿を改変不可能な孤独としてではなく、そこから希望までの距離がそう遠くはないことを、コメディのあかるさで、やさしく照らしえている。感情の奥行きとは、いじけることにではなくて、いじけないことのなかに現れる、そんな提言みたいにも思える。その二篇以外は、じつはごく初期の頃の作品が収められており、どれも画のレベルにかなり厳しいものがある。現在と比べるまでもなく、拙く、これはやばいだろ、と断言できるほどである。とくに02年のデビュー作であるらしい「たまごやき」は、まったく別人の域である。とはいえ、これが意外と悪くなく、先行するマンガ家からの影響があちこちに感じられるけれども、今のレベルで、こういう湿りっ気抜群のものを一本ぐらい描いてくれたっていいのかもしれない。

 『誰がスッピン見せるかよ』について→こちら
 『そんでむらさきどーなった?』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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