
PANIC! AT THE DISCOとバンド名にはある。たしかにシンセサイザーの類を使用して、ディスコテックな側面を打ち出しているが、中核は、じつに今風のメロディアスなエモ・ポップである。キャッチーなコーラスと程よい疾走感をキープしながらも、ピコピコいう電子音と打ち込みのリズムによって、同系統の他バンドとの差異化を目指している印象だ。ステレオタイプに止まらない発想はユニークだと思う。いっけん新しい。が、しかし、アルバム全体のイメージとしては、それらアイディアはアクセントや装飾のレベルに止まっている。所属はフォール・アウト・ボーイの人のレーベルらしいが、なるほど、その系のサウンドのいちヴァリエーションに他ならない。ただし、ヴォコーダーを使った4曲目「NAILS FOR BREAKFAST, TACKS FOR SNACKS」に漂うニュー・ウェーブ風の雰囲気は、おもしろい。その1曲だけは、エモ・ボーイの域を脱し、むしろイギリスの新人アーティスト、たとえばBOY KILL BOY あたりに似たニュアンスを含んでいる。楽曲の出来もよく、楽しいアルバムであると思う。ただ、なんかねえ、こう、一本芯の通っていない感じがするし、だからラスト・ナンバーのとたんにメロウなしなり具合などはむしろ興ざめに感じられ、そういった部分まで込みでひとつの表現ですよ、というほど好意的には受け入れられない。つうか、そんな真剣に付き合う必要などねえだろ、とすれば、まあそういうことか。
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