
『B-SIDES & RARITIES』というタイトルどおり、これまでデフトーンズが発表したシングルのB面曲や未発表曲を集めたものである。ほとんどの楽曲が、バンドのハードコアなファンならば、ブートレグなどですでに耳にしたことがあるものだろう。しかし余技とはいえ、これがなかなか「聴ける」内容なのであった。それというのは、アルバムの半分ほどが、他アーティストのカヴァーだというのもある。参考程度に記しておくと、もともと1曲目「SAVORY」がジョウボックス、2曲目「WAX AND WANE」がコクトー・ツインズ、4曲目「SIMPLE MAN」がレイナード・スキナード、5曲目「SINATRA」がヘルメット、6曲目「NO ORDINARY MAN」がシャーデー、10曲目「IF ONLY TONIGHT WE COULD SLEEP」がキュアー、11曲目「PLEASE PLEASE PLEASE LET ME GET WHAT I WANT」がスミス、13曲目「THE CHAUFFEUR」がデュラン・デュランのナンバーである。全体的に、ややニュー・ウェーヴ寄りであるけれども、デビュー当初はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン型のミクスチャーとして見られることもあったデフトーンズが併せ持っていたナイーヴさ(ナード色)の起源、それを非常にわかりやすい形で提示している。デジタルな冷たい感触やスタティックな進行によって、元曲のメロウさを際立たせる、そういうアレンジが施されている。そういったアレンジ自体は、7曲目「TEENANGER(IDIOT VERSION)」の、バンド・サウンドではない、打ち込みを重視した、トリップ・ホップ調(?)の仕上がりに継承されている。ちなみに「NO ORDINARY MAN」にはGRATITUDE(現在)のジョナー・マトランガがバック・ヴォーカルで参加している。そのことやジョウボックスのカヴァーが収録されていることを踏まえ、考えると、デフトーンズをエモの文脈から捉まえ直すこともまた不可能ではないことがわかる。8曲目「CRENSHAW / I'LL THROW ROCKS AT YOU」は、『バック・トゥ・スクール』EPに収録されていた「I'LL THROW ROCKS AT YOU」のアップ・デート・ヴァージョンで、「BACK TO SCHOOL(MINI MAGGIT)」と「PINK MAGGIT」の関係性に近いつくりであるかもしれない。続く9曲目「BLACK MOON」は『ホワイト・ポニー』制作時のセッション中に録られたもので、ひさびさのラップ・トラックといえる。ちなみに本作には、全ヴィデオ・クリップを収録したDVDが付せられていて、観ると、やっぱりチノ・モレノはセカンド・アルバム(97年)の頃が、一番ハンサムなのであった。
チノ・モレノのサイド・プロジェクト
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