ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年01月19日
 ギャンブルッ! 4 (4) (少年サンデーコミックス)

 まったくクソみたいな野郎に限って金持ちだったりするんだよな。でもさあ、ぜんぶの金持ちがクソというわけじゃあないんだろうから、結局のところ、クソみたいな野郎が金を得て、いっそう性根を腐らせていくのであろう。〈どうだ!? これが金の力!! 金の真実!! 絶対的価値!!! それに勝つつもりか?〉と総資産50億円とされる若き富豪が言うのに対して、マサルは〈…勝つつもりだよ。ココで勝つ!!〉と答えるのだった。鹿賀ミツル『ギャンブルッ!』の4巻である。それにしても、マサルがいう「ココ」とは、いったいどこ、はたして何か。グーで胸のあたりを押さえるポーズからするに、さしあたって、ハート(心、気持ち)、であると推測される。むろん、ギャンブルの類は、ハートのみで勝利を掴めるものではないに違いない。しかし、これまでの対決によって示されているとおり、このマンガでは、プレイヤー同士の、あくまでも心理戦の要素がつよく打ち出されていて、先に相手側の繰り出すロジックに屈したほうが敗れる、ということになっている。ロジックといってもそれは、盤上の戦略をいかに組み立てるかというより、場それ自体のムードをどう左右するかにおおきくかかるものであり、作中では「運」と言い表されているのだが、これは文字どおりラッキー(ラック)の意ではなく、要は、精神の面で優位に立つ、圧倒する、相手を支配する、そのような状態になるまでの過程だと思われる。あるいは、そうした過程がギャラリーにとっては「運」の運びに見え、やがて負ける者にとっては「運」が逃げてゆく様子に見えるということである。〈金があれば勝てる? 金があれば何でも買える? 運もココも…買えないんだよ。さぁ、勝負しよう〉。いよいよ“ギャンブル・バーリトゥード”の2回戦も大詰めの場面で、こう、挑発するマサルの姿を見、ライバルの沢尻は外野で〈青臭いことやってんな、マサル / そのまま順番を支配すればいいものを…でもまぁ…これがマサルか〉と呟く。この言葉は、おそらく、マサルの強さの秘密を言い当てており、したがって、その「青臭さ」こそが眼前の者をさらに窮地へと立たす。

 1巻と2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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