
WITH RESISTANCEのセカンドにして、ラスト作であるけれども、いや、しかし、これがけっこうすごいことになっていたので、おどろいたのだった。正直なことをいえば、デビュー作『WITH RESISTANCE』(03年)に関しては、その表現の強度は認めつつも、高いテンションでメタリックな音を鳴らすニュースクールなハードコアの、その定型から逸しておらず、惜しいかな、という印象だったのである。が、『REAL HARDCORE KIDS HAVE DAY JOBS』にいたっては、覚醒の感がある。呼吸を断つ空気に満ちている。けっして嘲笑できない緊迫が宿っている。格段にステップ・アップしている。まさにおどろくべき飛躍を聴かせる。そうした向上の具合は、ヴィジョン・オブ・ディスオーダーの『ヴィジョン・オブ・ディスオーダー』と『インプリント』の間にある距離を、僕に思わせた。まず、楽曲がワン・ウェイではなくて、多方向へと拡散するかのように、複雑な構成を見せるようになった、それにともない各楽器の機動性が著しくアップしている(もちろん、ここらへんの因果関係は逆かもしれない)。ギターは切れ味するどいフレーズを重ねるばかりではなく、クリアに透き通らない混濁のノイズを震わせることで、不穏なムードと不整形な衝動とを、自然な状態のまま、接続させる。それをフォローするのが、ベースの柔軟なフットワークで、絶えず変化するリズムのなかで、バラバラに解体されそうな楽曲を、しかし、ひとつのカタマリとして固定しているのであった。そして、最大の功績はドラムにあるのだろう。ふつう、こういったサウンドにおいては、線のような怒濤のアタックが繰り返されがちであるけれども、場面によっては、そんな猛烈にたたかない、というか、ほとんどたたかれない、たん、たん、たん、と、点をいっこずつ置いてゆく、そういう慎重さが、想定内たるパターンへの着地を斥けている。また、ヴォーカルが、よい、のである。クリーンな発声を使わない、喉にある器官をフル稼働させ、そこに生じる熱を音(おん)として発するのだが、クソみたいな世界にあって叫ばずにはおれない胸中をエモーションというのであれば、じつにエモーショナルな歌として響き渡る。とはいえ、ソング・ライティングの問題なのかもしれないが、叙情の組み込み方に、やや難があり、静的なパートをふんだんに盛り込んだアルバム後半は、ややだるくも感じられる。そのへんは改善の余地ありといったところであるけれども、残念ながら、これをもってバンドは解散ということで、このあとに続くものはないのであった。
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