ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2004年10月08日
 第36回新潮新人賞受賞作品。『新潮』11月号掲載。作者は80年生まれと若い。世代でいえば、佐藤友哉や西尾維新、綿矢りさや島本理生、金原ひとみなどと同じということになる。それら先行する作家たちと比べると、若干個性が弱い気がするが、力量としてはまあまあのものだろう。とはいえ、随所に保坂和志からの影響が顕著なので、個人的には苦手な部類の文体ではある。話は、友人の自殺を中心にして進む。友人の死は、ある意味、公開自殺であり、語り手であるところの「僕」が、その様子をビデオに収めている。そのビデオの編集作業を、物語は、追ってゆく。あれ?と思ったのが、自殺の仕方で、なんとピストルで頭を撃ち抜くというものなんだけれど、登場人物たちの設定が現代の高校生であるというのと、そういった死に方が、どうにも僕のなかではうまく接続できなかった。ほんとうに今って、拳銃なんかインターネットとかで簡単に手に入るのかな。いや、ちがう。浩輝という登場人物がいるから、たぶんこれは遠藤浩輝のマンガが参照項にあって、友人が撮影したビデオを自分の親に見せて欲しいというのは、つまり『プラットホーム』のような家庭環境に置かれていることを示唆しているんだ。とか、余計なことを考えた。まあそういうのもあって、ここに書かれているのは、たぶん、ある種のアパシーなんだと思うんだけれど、僕にはそれが、とてもとても作り物のように、まるでリアリティのないものに感じられた。あと、セロニアス・モンクや、はっぴいえんど、東京スカパラダイス・オーケストラの名前などが出てくるので、たぶんポップ・ミュージックの影響下にある小説だと思うが、たとえば〈兄の部屋からビースティ・ボーイズを取ってきて気合を入れるために爆音で聞いた〉みたいな一節が、あまりにも紋切り型なので、やはり引いてしまう。まあ個人的な好みの問題。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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