
正確には7貫目。『きららの仕事』を読んでいると寿司(鮨)が食いたくなる。それが良くないところである。基本的な筋としては、鮨職人としての天才的な才能に恵まれた少女が、さまざまな苦難を乗り越えてゆく、という浦沢直樹が『YAWARA!』で提示したフォーマットを踏襲しているが、しかし、読み応えはそこではなくて、まるで少年マンガ的な展開をみせる「スシバトル」こそが、熱いのであった。幻の握りを完成するために、滝に打たれたり、極限まで筋トレを行ったり、ボロボロの体でもバトルに赴く、まさに命懸けの坂巻が、僕のお気に入りキャラである。この巻では、いよいよきららの出生の秘密が明かされる。そして、手渡される伝説の鮨職人が使っていたという包丁。アメリカ帰りのロール巻使いタッド松岡に苦戦を強いられるきららは、はたして逆転のチャンスを掴むことができるか。個人的には、寺沢大介『将太の寿司』をさらに上回る、熱血寿司マンガだと思う。ぜひとも多くの方に読んでいただきたい。