ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年12月28日
 ダブルガンロックライダー 2 (2) (KCデラックス)

 意外に良作だと思われるマンガが、ほとんど無名のまま、消え去っていくのはとても寂しいことで、永井幸二郎の『ダブルガンロックライダー』に対しても同じ気持ちを抱くのは、物語の序盤も序盤、わずか2巻の段階で、「未完」のピリオドを打ち、終了してしまったからなのだった。作者の「あとがき」によれば、やはり、人気の出なかったことが原因であるようだ。が、それにしても残念で仕方がない。地球からの移民が、その惑星に到達してから、すでに5万年の月日が経った。その間、どのように歴史が流れたのか、すべての人びとのあいだで、「空は神のもの、地は人のもの」という、飛行禁止の戒律が、絶対視され、共有されるようになっていた。その下に成り立った文明にあって、隆盛を極めたのが、バイクに乗ってマトを拳銃で射るジャンプ競技である。ジャンプマンとして成長著しい少年ロックは、大空への憧れをつよく持ち、その想いを自らの飛翔に託す。だが、彼の運命は、空から墜落してきた船と、そして、ひとりの少女との出会いにより、おおきく転換するのであった。ぶっちゃけて、おおまなかストーリーやディテールは、作者自身が「あとがき」において〈この作品のコンセプトとしてまずあったのが自分が少年の頃、心躍らせた80年代前後のSFアニメ作品のテイストを再現してみたいということでした〉といっているとおり、どこかで見たことがあるものの集積だといえる。装甲をまとうヒロイン、赤ん坊のような巨大兵器、大砲を頭上に頂き陸走するシップ、それから開拓時代を思わせる背景などなど、それなりの知識があれば、類似の表現ないし参照項を指摘することも容易に可能であろう。しかし、じつは先行する作品群(参照項)からの影響がもっともうかがえるのは、夢見がちな男の子の行動が、ボーイ・ミーツ・ガールを導き、彼を世界の謎をめぐる冒険へ出発させる、そういう構造なのではないか、と思う。つまり、主体の積極的な態度と、体験と成長とが、ここに描かれている内容を心強いものにしているのである。それこそが、あるいは作者のいう〈少年の頃、心躍らせた80年代前後のSFアニメ作品のテイスト〉を想起させるのではないか。前途はけしてやさしくはない。が、そのきびしさを当然のものとするからこそ、挑んでゆくだけの価値がある。アドヴェンチャーって、本来、そうやって生成されるものでしょう。とはいえ、画のレベルにおいては、今どきの大勢を満足させるほどのクオリティではないのもたしかで、いや、味として見ても、正直なところ、つらい箇所があり、せめて、もうちょい、そこのあたりが何とかなっていたら、世間の評価も違ってきただろうに、と惜しむ。
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
どうもはじめまして。
この作品(作家)の書評はまさに「その通り!」だと思いました。
この作家の欠点(?)は絵が荒れること。
自分の知っている限り、過去の作品は皆同様です。

コマ単位で見ると「悪くないな」って所もあるのですが、流れで読むとやはりクオリティが・・・。
作品の方向性は良いので、あとはその世界観をもっと上手く表現できるようになれば面白いと思うんですがねぇ。
Posted by あるふぁぞね at 2008年02月13日 00:38
どうもコメントありがとうございます。
そうそう、方向性は悪くないんですよね。
ただ、今風のキャッチーな絵柄ではないだけに、ときどき等身とかが狂ったり、背景がおざなりすぎたりするのは、マイナスの方向に働きかねないので、はげしくもったいない気がしました。
連載時には評価が低かったり、単行本れが売れなくとも、総体のクオリティが高ければ、やがてカルトな良作になる可能性もあるのに。
Posted by もりた at 2008年02月14日 18:02
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