ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年12月24日
 無限の住人 22 (22) (アフタヌーンKC)

 もっともフェイヴァリットな登場人物を挙げよということであれば、断然、凶泰斗である。したがって、奴が活躍してくれただけでもうテンションがアップしてしまうのだけれど、まあ、それはともかく、終結に近づき、まだ物語から退場していないおおよその登場人物が集結しはじめたもんだから、やあ、盛り上がってきたねえ、という印象を沙村広明の『無限の住人』22巻には持つ。「不死力解明編」の流れを受け、最終章に入った前巻より、さらに総ざらいの度合いはつよまった。吐鉤群による執念の追撃をかわしつつ、江戸からの出奔を果たそうとする逸刀流の当主、天津影久は、彼を仇敵とする凛に〈この旅は「斗い」だ――恐らく逸刀流にとって最後の「斗い」だ / 凜 / お前にそれを見届ける権利と義務があると云うなら / あの男にもあろう……〉と、もしも最後の「斗い」に立ち会うつもりであれば、〈我々をさんざん苦しめてくれたあの男〉である万次を、かならずやともなってくることを要請する。こうして、おおよその登場人物たちが、逸刀流が行く先とする常陸を目指して、江戸を発つ。という流れで、これがしかし、燃えんぜ、と息巻かざるをえない。吐の娘、燎を一蹴する凶のかっこうよさは言わずもがな、なのだが、窮地へと追いやられるにしたがい、ぐっと存在感と迫力を増してゆく吐も、良い。槇絵に別れを告げんとする天津は悲しく、百琳と偽一の再参入もまた、べつの箇所で、悲しい。そして、彼らの総和が、クライマックスの前段に相応しいような、ゆるやかな熱気を蓄える。さまざまな思惑とそれぞれの覚悟が、ただ一点の終(つい)へ向かい、動き出す。

・その他沙村広明に関する文章
 『ブラッドハーレーの馬車』について→こちら
 『エメラルド』について→こちら 
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
完結したらまとめて読むから教えてください。
Posted by わきた at 2007年12月25日 17:50
お知らせしますとも!
Posted by もりた at 2007年12月26日 19:11
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