ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年12月22日
 Walkin’Butterfly 4 (4)

 マフラーのやりとりは、すこし恥ずかしいけれど、なかなかのシーンだな、と思う。身長の高さにコンプレックスを抱えたヒロインが、ファッション・モデルの世界に入り、自分の進む道を見いだしてゆく、たまきちひろの『WALKIN' BUTTERLY(ウォーキン・バタフライ)』であるが、掲載誌(発表先)が変わったりとしながらも、この4巻をもって無事に完結した。結局のところ若い女性の自分探しが帰結する先を恋愛にしてしまいましたか、との揶揄を言えなくもないのだけれど、そもそもミチコの劣等感の根は、他人から自分が女性として魅力的に見られていないことにあったのであって、それが自分を高く評価する男性との、まさしく相思相愛のかたちで払拭されているのだとしたら、作品内の整合性に誤りはなく、そうして十分に納得のいくラストを迎えるに至る。当初はミチコの敵愾心を煽る一方であった三原が、やがて彼女の受け皿となるような展開も、あらかじめ予測できたとはいえ、エンディングまでの流れを、より一段と勢いづかせ、読ませる。ショーに遅刻しているミチコの到着を待つ三原の〈あいつを信じたから決めたんだ / ここで変えたら / 俺は自分も信用できなくなる / あいつの問題じゃない / これは俺の問題だ〉というセリフ、これはもちろん、他人を信じるということは、つまり、他人を信じる自分を信じること、という言いを含んでいるわけだが、そうした響きのなかには、他人を信じられない自分への否定、あるいは他人を信じられなかった自分への訣別を、同時にともなう。こうした態度は、過去を振り切り、ショーへと向かうミチコにもまた、共有されているものだろう。ようやく会場に辿り着いた彼女の言葉によって、そのことは確認できる。だが、ここで注意しておかなければならないのは、そこから色ボケといっても差し支えがないぐらいの大恋愛へと進展していったカップルが最後のポイントで、他人を信じる自分が、その他人のためだけにあるのではなく、また、自分の信じた他人が、自分のためにだけあるのではない、そのような毅然とした道のりを選ぶことにある。頼り合いながらも、ぜんぶを預けてしまうのではない。寄り添いながらも、ぜんぶを甘えるのではない。そのことが、作中人物たちの成長を、よく表している。

 3巻について→こちら 
 2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック