ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年09月27日
 『月刊少年シリウス』11月号掲載。海藤幼志は言う。「本来の手順にのっとるならば、事件の真犯人の名は最後まで秘し、様々な伏線を回収しつつ論理を組み立て、そして最後の一行でそれを明らかにする――べきなのでしょうが、しかし今回はあえてその手順を踏み外し、逆向きに推理を披露しようかと思います」。かくして日本探偵倶楽部から派遣された俊英によって、事件の全貌が明らかにされるのだった。だが、しかし、それは、おそらく、読み手の多くを納得させるものではないだろう。理に適っていない、ということではない。物語の解説としては、腑に落ちる。推理小説のフォーマットに則るのであれば、破綻もなく、伏線も、トリックも、すべてが丸く収まっている。けれども、それで話が終わってしまっては、詰まらない、退屈だ、読んで損した、スリルに欠けらあ、というわけだ。つまり、予定調和にすぎる。もちろん、だから、秀でた作家である西尾維新は、その先に、さらなる展開を用意しておくのであった。すなわち、次の殺人と、新しい謎と、物語の反転を、である。この回に限っていえば、自分の意思で行動したはずなのに、それが、あたかも台本に沿った行動であったと感じる、そういう作為にあふれたメタ・レベルを意識する、閉塞世界における主体性の剥奪が、ひとつ、テーマとして浮上している。初回から登場した「人形」というキーワードも、ここに、帰結する。これは、この作者得意のモチーフであり、そして同時代を生きる人々が、本質的に抱えている妄想を、いつもどおりの手際で、作品の内部に組み込んだ結果である。謎解きの最中に、海藤幼志は、その自分が語る真相に、思わず、声を荒げる。「自然じゃない――自然の流れなんて、とんでもない――(略)――! 不自然至極極まりない!」。

 『トリプルプレイ助悪郎――第四回「四季」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第三回「第三」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第二回「二人」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第一回「唯一」』について→こちら

 西尾維新その他の作品に関する文章
 『ひたぎクラブ』について→こちら
 『ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種』について→こちら
 『ネコソギラジカル (上) 十三階段』について→こちら
 『ニンギョウがニンギョウ』について→こちら
 『コドモは悪くないククロサ』について→こちら
 『タマシイの住むコドモ』について→こちら
 『ニンギョウのタマシイ』について→こちら
 『新本格魔法少女りすか 2』について→こちら
 『新本格魔法少女りすか』について→こちら

 『総特集 西尾維新』ユリイカ9月臨時増刊号について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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