ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年09月24日
 Everyone Into Position

 イギリスの5人組OCEANSIZE(オーシャンサイズ)のサウンドは、他に類似のものを見つけるのが難儀なため、言葉で掴まえるのが容易ではない。それは03年のデビュー作『EFFLORESCE』の時点からしてすでに確立されていたものであったし、このセカンド・アルバム『EVERYONE INTO POSITION』でも、立派に、貫かれている。強いていうのであれば、トゥールから強迫観念のようなダークさを抜いて、レディオヘッドの叙情と、シガー・ロスの幽玄をミックスしたような感じ、といった風になるかもだが、そのような通りのよい形容は、逆に、OCEANSIZEの存在を矮小な枠内に押し込んでしまう。不可侵な精神の領域で共鳴するものではなくて、あくまでもプリミティヴな躍動をともなった演奏であり、次々にクライマックスが連続するけれども、それは安直なダイナミズムに基づいているわけではない、一音が新しい一音を呼び、その一音がさらなる一音を呼び込む、そういった一音一音の展開と分岐が、止めどなく、エモーションのウェーヴを構築、改編、瓦解させ、再構成してゆくのであった。つまり、そのようなプロセスそれ自体が、圧倒的な、揺るぎない、独特の世界観を提示したものとして、完成されている。

 しかし震えるのは、3本のギターから爪弾かれる、表現の深さだろう。アンサンブルの密度は濃いが、ギチギチに詰め込まれた窮屈さはなく、その向こうに、ひどく広いスペースを感じさせる。無限を思わせる空間のなかで、激しさと美しさが、柔軟に交じり合いながら、独創的な曲線を描き、伸び、その果てで、有限の切実さを気づかせるような、硬く険しい轟とした音響を発見している。軽やかなアルペジオが、楽曲の内部を流れる時間によって、たとえば悠久において変化はそれとは気づかぬほどの自然であるように、しとやかな営みのなかで、ゴリゴリとしたリフへと変質しているのであった。どのナンバーも、最短で4分強、最長で9分程度と、長い。だが、その長さに、けっして蛇足要素の欠片は含まれておらず、バンドがOCEANSIZEというスケールを為すにあたって、必要最低限の距離であることに、疑いの余地はない。それにしても、『EFFLORESCE』、今年初頭の『MUSIC FOR NURSES』EP(これはべつに本作収録の「MUSIC FOR NURSES」を含んでいるわけではなく、全5曲の単独した作品であるとカウントされるべきだと思う)、そして、この『EVERYONE INTO POSITION』をもって、比類のない、高度なサウンドを達成したバンドは、今後、どこをどう目指してゆくのだろう。孤高であるがゆえに、まっとうな評価を得られず、それこそシックス・バイ・セヴンがそうであったみたいに、やがて寂しく、不運の解散へ到達するのみなのではないか、と、それだけが気懸かりなのであった。

 バンドのオフィシャル・サイトは→こちら
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