ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年12月09日
 鈴蘭男子高校入学案内 (少年チャンピオン・コミックス)

 90年代のはじめには、まさか高橋ヒロシがここまでのブランドになるとは思わなかったよね。すくなくとも若い世代にとっては、『クローズ』や、その続編である『WORST』こそが、ヤンキー・マンガの始点であり、頂点であろう。かつての名門愛徳高校(『ビー・バップ・ハイスクール』)を知らなくとも、鈴蘭の名には一定の愛着を持っているに違いない。映画『クローズZERO』を観たときには、鈴蘭のイメージの悪さ(それは良さでもある)と、そこに集う不良少年たちの層の厚さを、あらためて実感させられたものであったが、まあそれはともかく、この『鈴蘭男子高校入学案内』は、マンガ『クローズ』そして『WORST』の設定を後から追ったドキュメントであり、著者は高橋ヒロシということになっているけれど、おそらくは、編集にクレジットされている濱口正樹、高橋範泰、榎本雅一の仕事と思われる。そういった性格上、制作秘話が明かされたり、作品になる以前の資料等々が提供されているわけではないので、読み手の側からしたら、周知の部分が多いのだけれども、こうやってまとめられると、マンガの舞台が「戸亜留市(とある市)」という匿名的な場所であること、つまり、どこにでもありそうな郊外都市であることが、魅力の一端を担っていることがうかがえる。ある程度の施設は揃っており、地域と密着しながら生きることもできるが、おおきな成功を夢見る人間は、東京や横浜、大阪あたりに出て行く仕様になっている。この拡張性の高さが、共感の幅をひろげると同時に、設定の後付けをいくらでも可能にする。それからもうひとつ、本書は、鈴蘭高校21期生から30期生までの登場人物紹介を兼ねた内容になっているのだけれども、第23期生、つまり映画『クローズZERO』の世代はまったくのブランクになっている、要するに、作者の手によるものとそれ以外のものをリンクしないことで両者の明確なリンクを示すというやり方なわけだが、今のタイミングで出す以上、なかなかの得策である。

・その他高橋ヒロシ関連の文章
 『WORST』
  17巻について→こちら
  11巻について→こちら

 『クローズ外伝 リンダリンダ』(監修)
  後編について→こちら
  前編について→こちら

 『クローズイラストBOOK』
  Vol.1について→こちら

 『Hey!リキ』(原案)
  10巻について→こちら
  9巻について→こちら

 『ドロップ』(キャラクターデザイン)
  1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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