ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年12月07日
 R-16 12 (12) (ヤングマガジンコミックス)

 桑原真也が佐木飛朗斗と組んで『[R-16]』をスタートさせたときには驚かされたものである。それというのはつまり、スケベくささも込みのオタクっぽい趣味でやっていくのかと思われた桑原が、いきなりヤンキー・マンガへと転向したと感じられたためである(そういえば、大昔に藤沢とおるが『湘南純愛組!』を描きはじめたさいにも、同様の理由で、意外性を覚えたものである)。だがじっさいには、美少女をいたぶるようなサディズムや臆病な男性をもてあそぶマゾヒズムと、暴力やマチズモにまみれた不良少年たちを表現することの、その本質に大差はないのか、うまい具合に、作風をスライドしたと思われたのもたしかである。しかし、もともとの発表先であった『ヤングマガジンアッパーズ』が休刊し、『ヤングマガジン』本誌に移ってから、あるいは作中人物らが高校に進学したあたりから、どうもストーリーの運びがあやしくなってゆく。ワキの人間をばんばん増やし、風呂敷をばんばん拡げる、伏線と見るよりもはったりというのが相応しい、あの佐木原作の癖が顕著になり出したせいである。その場しのぎととれなくもない展開の連続に、状況整理が困難で、連載で追うのは、正直きつくなっていた。それにしても、なんという残念エンドだろう。と、いちおうの完結にあたるこの12巻を読み、あらためて溜め息をつく。せめて、キー・パーソンのひとりである爆麗党総長の引退パレードまでやってくれれば、それほど印象の悪くない区切りはついただろうに、その直前、さあクライマックスに突入しようかという段階で唐突に終わりというのは、こちら読み手の知る由もない作外の事情があったとしても、やはり無残としか言いようがない。爆麗党総長、南雲の引退は、かつて猪瀬の死がそうであったように、主人公の純弥や、その幼馴染みである真希央や輝男、メインを張る三者の思春期における複雑なプライドと葛藤、そして友情の亀裂にとって、重要なモーメントとなりえたはずだったのだ。それが結局のところ、何のケリもつけられず、放り投げ出されてしまった。ピアノの調べが「透明な響き」となり、人びとの魂を照らすラストは、いっけんうつくしくあるけれど、じっさいには演出上の誤魔化しにしかなっていないからね。たとえばオビに「累計200万部突破目前!!」とあるのだが、その「目前」という修辞が、厳密な事実を表していないのといっしょ。まあ、佐木飛朗斗的には、ここで扱われたテーマは、山田秋太郎とのコンビによる『パッサカリア[Op.7]』を経、そして新作『爆麗音-バクレオン-』へと持ち越されているのはあきらかだから、そちらで確認することは可能だが、桑原真也はどうするんだろう、個人的には『TO-mA』のような路線でシリアスさを追求したものを描いて欲しいところである。

・その他佐木飛朗斗に関する文章
 『パッサカリア[Op.7]』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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