ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年09月20日
 パラパル 1 (1)

 前作『ジグ☆ザグ丼』もそうだったのだが、石田拓実のマンガには、セックス(性交)に関して、何か過剰なものが含まれているような感じがする。それは『汚れてる暇なんかない』ということなのかもしれず、つまり、男性の視線によって固定化された女性性であったり、さもなければ社会性や倫理などからくる抑圧と無縁ではない、そういう問題なのかもしれない、が、いや、ちょっと違う気もする、外部から内部ではなくて、内部から外部へと、純粋なものへの指向性が歪に変形した結果そうなったのではないか、と、この『パラパル』からもまた、大枠の部分はともかくとして、本筋にいたっては、同様の傾向を見て取れるのだった。家族や友人、恋人との間に大きなトラブルもなく、明るい日々を送る小牧は、普通の女子高生であったが、ある朝を境に、頭のなかで謎の声が響くようになり、嗅覚が異様に鋭くなってしまう。そのことをきっかにして、今まで知ることのなかった、周囲の人々のほんとうの気持ちを察してしまうことになるのだった。小牧の著しく向上した嗅覚が、おもに捉まえるのが、発情した人間から発せられる匂いだという点が、やはりキーなのだろう。出来うるならセックス(性交)抜きの恋愛を行いたい小牧であるのだけれども、あるとき、自分の体からも発情の匂いが出ていることに気づいてしまう。人間は、程度の差こそあれ、生物のレベルで考えるのであれば、誰もが発情する。しかし、これまでのところ、小牧の秘密を知り、ともに行動する鶴見からは、それを感じとったかのような描写は見受けられない。そのことが、ひとつには、鶴見を、この物語のなかで、特権的な人物として、保証している。要するに、彼だけが、世間一般の、セックス(性交)により定型化された男女関係に、束縛されていない。この巻の前半で、ひとつのトライアングルが崩れる、しかし後半、小牧と鶴見を含めた新たなトライアングルが生成する。そのなかで、鶴見の役割も、やがて変化することになるのだろう。僕などは、SF的要素を絡めながら張られた伏線云々よりも、そういうトライアングルがどのようにして転がってゆくのか、そっちのほうが気になるタイプかもしれない。あと、このマンガ、同作者のこれまでのものと比べると、それほどネガティヴ色の強く出ていないところが、よい感じだと思う。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ。
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パラパル 1巻 石田拓実 新たな挑戦
Excerpt: こんばんは、クラウドです。本日のマンガは石田拓実の「ジグ☆ザグ丼」に続く「クッキー」での新連載「パラパル」の第1巻。 「ジグ☆ザグ丼」の最終巻に次回作の予告をちょこっと載せていたので予想はついて..
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Tracked: 2005-09-25 01:28