ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年11月26日
 この7巻にきて、彬聖子の『サルヤマっ!』には、おおきく三つの軸があると思われるようになった。ひとつは、シンプルにボーイ・ミーツ・ガールのラヴ・ストーリーであり、もうひとつは、終わりのあるモラトリアムとしての青春像である。そして、三つ目は、それら二つと深く関わっているのだけれど、自然と大人になりつつある少年や少女の姿、とでもいうべきものだ。最初に述べた軸は、もちろん、主人公である優(まちゃる)と春奈の恋愛を描くことで成立しており、次の軸は、優と春奈それからクラスメイトたちの楽しげな学校生活を描くことによって成り立っている。そこに、優の親友である敦行(あっちゃん・アツ)の横恋慕や、春奈の家庭の事情、それから高校卒業後の進路が絡むことで、三つ目の軸が顕在とするわけだが、その第三の軸を象徴しているトピックをもうひとつ挙げるとしたら、それは、優のセックス(性交)に対する欲求ということになるだろう。周知のとおり、物語の開始当初は、初心で、まさしく子供のように、無邪気な存在であり、だからこそクラスの皆から愛され、春奈が心惹かれた優が、作中の時間が流れるのにともない、恋人にセックス(性交)を求めるまでになる。こういったケースが、少女マンガのフォーマットで表現されるのは、意外と珍しいのではないか。言うまでもなく、たんに童貞や処女がそれを喪失する(喪失しようとする)ということを指すのではない。それは他の多くの作品にも見られる。そうではなくて、セックス(性交)が、恋愛状態における、なにかしらかの目的であったり、手段であったりするのとは異なり、一個の人間が、思春期における恋人や友人との付き合いを通じ、成長してゆく、その段階を示すものとして、きわめて自然に、意識されるようになっている、ということである。おそらくこれは、このマンガの特徴と記して良い点なのだが、しかしなあ、どうもこう、話の運びそのものに、あともうちょっとのつよい引きが欲しい。

 4巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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