
基本的には、後期ビーバップの方法論を流用した内容であるのだから、いくらでも話を続けられそうなものだが、切りのいいところで、ハッピー・エンドにしたのは、なかなか潔い。べつに人気がなかったというのでは、さすがにないだろう。すこし物足りないところもあるが、まあグダグダになるよりはずっと、よろしい。でも小松大幹は、これからどうすんだろ。ヤンキー・マンガはもう描けないよなあ。というわけで、大団円の最終巻である。主人公キイチがなぜ殺人の罪で刑務所に入らなければならなかったかが明かされ、物語を起動させた謎の美女さとみの正体が語られる。このマンガ『ヘヴン!』のコアは、登場人物たちは誰ひとりとして夢や希望を持っていないのに、それでもポジティヴ・フィーリングが全編に漂っているということであった。それは、どのような人間であれ、受け入れてくれる場所は、必ずやある、そのような確信に裏打ちされている。人間としての境界線を越えなければ、たとえどんな屑だったとしても、世界の片隅でぐらいは、生きることを許されてもいいのである。
第1巻についての文章→こちら
小松大幹『犬嶋高校行進曲』第3巻についての文章→こちら
木内一裕(きうちかずひろ)『藁の楯』についての文章は→こちら
