ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年11月14日
 ぼくのはねはきみ (講談社コミックスフレンド B)

 くそう。不覚にも笑ったのは、この、北川夕夏の作品集『ぼくのはねはきみ』の、いわゆるオマケ・ページに近しい「bitter18」を読んでのことである。いや、まあ、アイディア的には、ワキ役であるような登場人物が自分の出番のすくなさを愚痴るという、よくあるものでしかないのだけれども、ここに収められている「sweet17」と同作者の以前作である『19歳』とのあいだの、ミッシング・リンクといえなくもないモノローグに、思わず、ふいた。このへんのセンスは高く買いたい。こういう良い意味での適当さを、本編のほうにも盛り込むことができれば、もうちょい、作品の印象も変わってくるんだろうな。と、さて、その「sweet17」と「bitter18」を含めれば、ぜんぶで四篇のマンガが入っていることになるのだが、なかでもいちばん良いものを挙げるとしたら、やはり、表題作にあたる「ぼくのはねはきみ」になるだろう。中学生の初々しい片想いを、わりと直球で描いた内容である。中学三年の亮(あき)は、小学生のとき、陸上競技会で見かけた幅跳びの選手の、その跳躍に恋をしていた。自分もあんなふうに飛びたい、そして、できるならもう一度会いたいと願っていた。そんな折、亮のクラスにひとりの転校生がやってくる。奥村優という、その男子の目は暗い。が、しかし、体力測定のさい、きれいに幅跳びをする姿を見、亮は彼のことが気になりはじめる。ここから、奥村に対する亮の気持ちがどう募っていくのか、をストーリーは追っていくわけだけど、もちろん言うまでもなく、奥村こそが、小学生の亮が見た幅跳びの選手であり、要するに、純粋さと同義であるかのような初恋のイメージが、そこに重なる。純粋であるがゆえに、亮は、なぜ奥村が中学三年の大事な時期に転校しなければならなかったのか、その裏に隠されている事情を、本人に直截訊くことができない。それを言葉にすれば、ふたりの距離が、ふいに壊れてしまいそうだからである。そうした子供心にも複雑な畏れを、うまく捉まえ、やさしく、さわやかな読後に結びつくよう、描ききっている。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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