
前作『ビーストマスター』がいまいちで、ちょっとばかし最富キョウスケにはしょんぼりさせられてしまったのだったが、しかし、この『電撃デイジー』は、良い、良い、断然良い。とくに路線変更が行われているというのではないのだけれども、『ビーストマスター』にくらべると、シリアスとコメディのバランスがよく、また作中の人間関係も、すっきりと整頓され、ごちゃごちゃとしていないのが、いい。一年前にたったひとりの肉親であった兄を亡くし、若い身空で天涯孤独になってしまった紅林照だが、生前に兄から手渡された携帯電話に届くメールに励まされ、あかるくタフにやっている。メールの送り主はDAISY(デイジー)という顔も素性も知らぬ人物で、何かつらいことがあるたび、やさしい言葉をかけてくれ、そのおかげで、生活は苦しく、心ない生徒たちから貧乏人と罵られながらも、気にせず、彼女は元気に高校へと通い続けられるのであった。が、あるとき、学校の窓ガラスを不意に割ったことから、性格もガラも悪い校務員の黒崎祐につきまとわれ、こき使われる羽目になってしまう。ふだんはやたら素っ気ないにもかかわらず、なぜかピンチのさいには駆けつけてくれる黒崎こそが、まあ、ここまで書いてしまえば、ネタを割ったようなもんで、つまりはDAISYその人なわけだけれども、その正体に気づかぬまま、照の黒崎に対する距離は縮まっていく、というのが、おおまかなストーリーであり、ふたりの関係は、要するに「あしながおじさん」的というか「紫のバラの人」的とでもいうべきパターンのヴァリエーションになっている。なぜ彼が影から彼女を見守るようにして生きているのか、そのことが作品のシリアスなサイドを支えているのだが、メインの読みどころはやはり、サドっ気抜群のイケメンさんが色恋に疎い女子高生にちょっかいを出す、という現代的なラブコメ(ラヴ・コメ)の意匠だろう。そうした軽さが、前者の重たさを絶妙にコントロールし、キュートでファニーな物語をつくりあげている。システム・エンジニア界の寵児であった照の兄の死に、どうやら黒崎が深く噛んでいるらしいのが、作中で仄めかされており、そういった部分が今後に表面化してくると、また印象も変わってくるかもしれないが、この1巻の段階では、作者の言葉を借りると〈Aカップ・ちんちくりん女子高生とロリコン・チンピラ校務員のあーだこーだなこの物語〉へ、とてもたのしく、素直に入り込める。
『青春サバイバル』について→こちら
『ペンギンプリンス』について→こちら
『プリキュウ』について→こちら
ビーストマスターはガッカリとか言いますけど、とってもおもしろかったです。礼央の可愛い所とことか結子のカッコイイ所もいいです!
私が初めに電撃デイジーを買って、お姉ちゃんがはまって、つぎにお姉ちゃんの友達がハマッたのに私の友達はハマらないんです
おかしいです。
私も電撃デイジーを愛読させてもらっていますが、こんなにこのコミックの魅力さらに概要を、簡潔かつリズミカルかつ的を得た文で紹介されている方には出会ったことがありません。素晴らしい才をお持ちの方に誉められているこの漫画はやはり素晴らしいものだと改めて気づかされました。
でも電撃デイジーはほんと良い!そしてなぜ良いのか私は説明できませんでしたが、あなたの考察力は凄いと思いました!納得です!