ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年08月28日
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 「吉田聡 MASTER WORKS」と銘打たれたコンビニ売りのコミックス。どうやら大都社から出ていたものの再録であるようだ。高橋ヒロシのコメントもあわせて再掲されている。吉田聡には、ヤンキー・マンガ以外にすぐれた作品がいくつも存在するが、この『湘南グラフィティ』もそのなかのひとつに数えられる。『湘南爆走族』と同じ土地、同じ時代を生きる、冴えない高校生5人組の物語。坊ちゃん風の主人公、時任を中心としたメンバーたちはみな、小学校以来の古い付き合いである。ケンカに強いわけでもない、女にモテない、爽やかでもない。そんな彼らであったが、「集合」のかけ声で集まったときの団結力は、他の誰にも負けない。負けたくない。うだつのあがらない毎日も、気の合う仲間たちと過ごせば、それなりに愉快な日常なのだった。調べてみると、もともとは『湘爆』連載直後に描かれたものであるらしく、なるほど、作者は『湘爆』との差別化のために、意図的に平凡な登場人物を扱っている、そうすることで『湘爆』では取りこぼしがちだった「普通」という概念を、すくいとろうとしているように思われる。時任に兄がいるという設定も、『湘爆』の主人公、江口洋介との対比になっているのだろう。随所で『湘爆』のキャラクターも、毛色の違う人々として、ちらりと顔を出す。いや、しかし、ギャグの部分はさておき、なんて切ない青春劇なんだ。どのエピソードも基本的に、どれだけ必死になっても、最後には、悔しい涙によって回収される。報われない。だけどまあ、よくよく考えてみれば、青春なんてのは、だいたいがそんなもんである。その最中においては、ロクでもない、くっだらないことばかりだけれど、それに満足できないから走り続けることを選ぶ、そういった所作を若さと呼ぶのであった。
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | マンガ。
この記事へのコメント
吉田聡先生のマンガはほぼ全部読みました。ほんとに何気ない日常の出来事をうまく表現して描いていて、大好きです!読む度に甘酸っぱい青春時代を思い出させてくれます。
Posted by えーいち at 2009年05月23日 06:29
えーいちさん、コメントありがとうございます。

くすり、と笑えるような出来事が物語を通して、ああ、という感動(や、感動っていうのとはちょっと違う気もするのですが)に転じるようなところがいいですよね。「荒くれKNGHT」のヒデオのエピソードがどれも好きです。ろくでなしの日常を描いているだけなのになぜか、ほろ、っときてしまう。
Posted by もりた at 2009年05月23日 18:16
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