
カーシヴの魅力はやっぱり、そのどこかイモくさい佇まいではないかな、と思う。いかにもポスト・ハードコア的な屈折したソング・ライティングながら、アーバン・ライフにおける抽象的な孤独に彩られた美しさではなくて、地方都市における閉塞感が、ぐわんぐわんと落ち着かない揺らぎとして、ダイレクトに、音へと反映されている。03年のアルバム『アグリー・オルガン』では、チェロ奏者を加え、静寂のなかに響く優雅な一面も垣間見せたが、基本線は、ギザギザハートを代弁する強硬な不協和音であった。さて。本作『ザ・ディファレンス・ビトウィーン・ハウズィズ・アンド・ホームズ(ロスト・ソングス・アンド・ルース・エンズ 1995-2001)』は、その副題どおり、『アグリー・オルガン』以前の貴重なトラックを収録したコンピレーションである。サウンドの造形は、『アグリー・オルガン』よりも、ずいぶんと荒々しい、アグレッシヴな感触を湛えているが、ださいほどにナイーヴな心情がポップなメロディにくるまれている様は、10年前にバンドが結成されてから今に至るまで不変であったことに、気づく。純朴さが裏切られたときに上がる叫び声のような、痛々しいギターのノイズが響いている。
サイド・プロジェクトであるグッドライフ『アルバム・オブ・ザ・イヤー』についての文章→こちら
