ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年09月27日
 Loveletter from… (マーガレットコミックス)

 率直にいって、連載ヴァージョンの『ヤスコとケンジ』にはがっかりする部分が大きかった。とくに後半、ストーリーも絵も雑になりすぎ、ギャグとして見るにはテンポが悪かった。というのは、以前にも書いた。叩いているのではない。そうではなくて、作者の資質が十分に生きていなかったことを、残念に思う。この作品集『Loveletter from…』には、全部で三つの読み切りが収められており、そのなかではもっとも旧い作品で、04年に発表された「月は夢をみるか」に表されているような、こういう、キュートな叙情が、やはりアルコというマンガ家の、良さ、なのではないかしら。「月は夢をみるか」では、べつべつな三人のヒロインの、片想いをしたり、失恋をしたり、仲直りをしたりといった姿を、交じり合わせることなく、短い物語のうちでパラレルに描く、といったトリッキーな手法がとられている。とはいえ、実験的なセンを狙っているのではなくて、むしろ単純に、思いつきというかワン・アイディアの産物的なものだろう。とくに凝った描写があるわけではない。が、コマとコマとを連結させるリズムに、心地のいいものがあって、視点のスイッチにも、不自然さを感じさせない。そうして、三人のヒロインが体験するのは、それぞれ異なった出来事であるはずなのに、とにかく好きな人と一緒にいたい、という共通した気持ちを、青臭くも、まっすぐなポエジーに変えて、寄越す。

 『ヤスコとケンジ』
   4巻について→こちら
   2巻について→こちら
   1巻について→こちら

 『三つ編と赤い自転車』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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