ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年08月05日
 あまり観に行ったライヴに関しては書かないブログなのだけれども(過去ログみたらSUM41のライヴしか書いてないや)、ビリー・コーガンは、僕のなかでは別格一位のアーティストなので、ゆうべSHIBUYA-AXで体験した感じについては記録しておきたいモチベーションになった。

 オープニング・アクトのシロップ16gの不機嫌そうなエモーションと佇まいは、ちょっと僕にはトゥー・マッチだったかな。その演奏が終わると、スタッフがセッティングにとりかかる。ステージの上に用意されたのは、シルバーの装飾が施された2台のキーボードだかシークエンサーだかサンプラーの類と、エレクトリック・ドラム(っていうのかな。正式名称知らない。バスドラがなくて、パッドを叩くとデジタルな打音が出る)だった。その時点で、ロック(バンド)っぽいスタイルではなくて、アルバム『ザ・フューチャー・エンブレイス』の内容に忠実な、電子音の飛び交う様子で演奏が行われることがわかる。舞台の後方には黒い幕が垂れ下がっている。

  さて。照明が落ちると、後方の黒い垂れ幕もいっしょに下がるのだった。ぱっと見風呂場のタイルみたいな、ちいさく白っぽい長方形が、壁一面に敷き詰められている。それはときにスクリーンの役割をする、原色の光を放つ電飾だった。

 ギターを片手にビリー・コーガンが姿を現すと、会場中がわあっと沸く。正直なところ、観客の入りはフジ・ロックが事前にあったという時期が関係しているのかどうか知らないけれども、ちょっとあんまりだといった感じだった。フロアーの埋まり方は、6〜7割程度といったところだろうか。でも、しかし、ビリー・コーガンに向けられた声援は、なかなか盛大なものであった。キーボード系の楽器についたメンバーのひとりは、いかにもアメリカン・ゴシック調(日本でいえば、オールド・スクールなビジュアル系)な格好をした女性で、彼女はコーラスも担当した。そしてエレクトリック・ドラム(仮称)をプレイしたのは、ルックスから判断するに、あれはたぶんマット・ウォーカーだったと思う。

 演奏は、やはりニュー・ウェーヴのテイストというか、打ち込みを多用した、ある程度ダンサブルではあるのだが、踊るというほどにビートの強くない、ゆるやかなものだった。しかし、そのバック・トラックの印象が薄くある分、ビリー・コーガンの歌声とギターが映えた。アドリブのような調子で歌メロやギターのフレーズを紡ぐのはスマッシング・パンプキンズ時代から彼の得意とするところだが、それが、ずいぶんと自由な様子で展開された。あくまでもビリー・コーガンの声やプレイが好きという向き、つまり僕のような人間には、それだけで十分満足できるものだった。

 もちろん演奏されたナンバーは『ザ・フューチャー・エンブレイス』からのものがほとんどである。それ以前のキャリアへのタッチはない。が、カヴァーが2曲ほど演奏された、と思う。「思う」というのは、ちょっと自信がないからで、セットリストが手元にあればいいのだが、それがないので推測になってしまうが、ニュー・ウェーヴ風というか、元曲とはかなりアレンジが変えてあったので、たしかに知っている曲なのだけれども、あーこれなんだっけ? と、メロディの微かな名残に記憶が反応するだけなのだった。たぶんAC/DCとチープ・トリックかな。ぜんぜん違うかもしれない。

 曲間で、会場から女の子の「ビリーさん」という黄色い声があがったときは、会場中がくすっとなった。「ビリーさん」、いいね、僕が言いたかったな。とにかく終始、和やかなムードのうちに進んだ。ビリー・コーガンも笑顔で、積極的に、観客とコミュニケーションをとろうとしていた。結論をいえば、楽しいライヴだった。ライヴの出来自体もけっして悪くはなかったのだが、それ以上に、ひさびさに日本のファンのフレンドリーさ、あたたかみみたいなものに感じ入った。アンコールが終わって、最後にビリー・コーガンがひとり、ステージの上で感謝の言葉を述べる。たくさんの拍手。なかなかステージを去ろうとしないビリー・コーガンは、最後、すこし感極まっているように見えた。去っていく背中の照れた感じに、ああ、やっぱり僕はこの人のことが好きだな、と思う。 
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽。
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