ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年09月16日
 NANA 18 (18) (りぼんマスコットコミックス クッキー)

 すでにさんざん指摘されていることだと思われるが、矢沢あいの『NANA-ナナ-』は、基本的に「あの頃」という時制、つまり過去完了で語られている(描かれている)物語なのだけれども、この数巻のうちに、その語り手のいるポジション、要するに現在進行であるような状況が、顕著なかたちで、こちら読み手に提示されつつある。映画版一作目の内容に触れたときにも述べたが、これは、作品全体の構造を考えたときに、とても重要な前進だといえる。なぜナナがハチたちの前から姿を消したのか。それが「あの頃」といった語り口のなかに含まれるエモーションをつくり出しており、言葉をかえると、そのエモーションの正体が、いよいよ露わになることを意味するから、だ。また、やたらだらしのないハチの男性遍歴に関しても、時制の問題を踏まえたさい、もはや過ぎてしまったことである以上、批判の対象としても詮ない話であるように感じられる。元不良の語る武勇伝じみた昔話みたいなものだと考え(すこし、いや、ぜんぜん違うか)、冷ややかな目で見るに済ませたい。ともあれ、過去は改変することができない、その改変できないことが、このマンガにおいては、ひとつのテーマなのであって、登場人物たちの行動と結果はすべて、そこに組み込まれてゆく。さて18巻である。もともとトラブル・メイカーの気があったシンの本領発揮とでもいうべき不祥事のせいで、BLACK STONESは活動休止に追い込まれ、ナナは、バンドの危機を救うべくソロ・キャリアのスタートを決意する。〈自分の為だけじゃなくヤスの為に 応援してくれるハチの為に 仲間の為に あたしは歌う そう思えば一人でも 心細くはないよ〉。この言葉が、いったいどのような理由で砕かれ、そしてナナは、どうして行方をくらまさなければならなかったのか。すっごくスローなペースではあるけれども、しかし真相が明かされるときは、着実に近づきつつある。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック

「NANA」&「シュガルン」読書記録
Excerpt: 今月はコミックの新刊がたくさん 「NANA」に「シュガシュガルーン」に「働きマン」 ミーハーに人気作品を読み散らかしてますが、 3つともさっそく買いましたです。 (この後、コ...
Weblog: Best wishes〜日々のコトダマ
Tracked: 2007-09-17 17:15