ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年09月15日
 山本善次朗と申します 2 (2) (りぼんマスコットコミックス)

 〈干渉する気はなかよ 考えるのはほたてじゃ でも ほたてがどうしても答えにいきつかん時 答え知っとる親でいたいじゃろう〉。とてもいいセリフである。1巻の段階では、誰を主役として見るべきか決めかねるところもあった槙ようこの『山本善次朗と申します』だが、まあ、とくに誰と決めなくていいとしても、やっぱり、霊的な能力を持つ少女ほたての親父さん、山本善次朗こそが、主役の位置にあたるのではなかろうか。という気にさせられるぐらい、この2巻で明かされる新事実は、重要で重大だ。学校には友達も出来、田舎の暮らしにも馴染んできたほたてのもとに、自分の名前も母親の顔も知らないほどに幼い幽霊がやって来て、〈ママが泣いてるの ぼくたすけてあげたいの〉と訴えかける。幽霊少年である速水とともに、母親探しをはじめたほたては、そこからは子守唄が聞こえる、と噂が立つ幽霊屋敷を訪れるのであった。詳細は省くけれど、この事件を通じて、まことのほかにもうひとり、善次朗の家に下宿人が増える。このエピソードと、続く学校に棲む少女の霊のエピソードで扱われているのは、要するに、双方向性な親子愛だといえる。しかし、そこでは同時に、子供の側の無力さというのも、立ち現れているように思う。親の子供に対する影響と、子供の親に対する影響は、その質において、かならずしも一致するものではなく、単純に力の差でいえば、子供よりも、大人のほうがおおきい場合、子供たちにできるのは、せめて、すがるように泣くことぐらいであろう。だが、『山本善次朗と申します』の基調を為しているのは、その悲痛な祈りではない。それの意味や理由を理解しようとする気持ちのたしかにあることが、暗がりを照らす、そういう、あかるい作風を引き寄せている。山本善次朗というのは、いわば、そのことの象徴である。子供にとって、最善で最良の理解者であろうとする父親、しかし、その彼が「知ったらほたてはおいのこと嫌うかもしれん」と隠していた秘密を、娘は思わぬことで知ってしまい、次巻へと続く。

 1巻について→こちら

・その他槙ようこに関する文章
 『14R』について→こちら

 『たらんたランタ』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

 『STAR BLACKS』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

 『愛してるぜベイベ★★』
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック