ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年09月10日
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 『ANGEL VOICE』を読んでいると、『GO ANd GO』のころに比べ、古谷野孝雄の作風はずいぶんと洗練されたな、という印象を受ける。より正確にいうなら、『GO ANd GO』の長期連載を経て、現在の作風が確立された、とするべきか。いずれにせよ、井上雄彦、森田まさのり、ハロルド作石、高橋ヒロシら、つまり、90年代から現在にかけてファンタジーの系とは異なったセンでイディオムを作り上げてきたマンガ家たちの影響をあからさまに、しかし、そのうえで着実に、このマンガ家にしか描きえない物語を築きつつある、そう感じられるのだ。〈サッカー部の現状はそれは酷いものです いつの頃からか ケンカ自慢の子の集まりになってしまって 今では「県内最強軍団」という肩書きまでついてしまいました 不良と呼ばれる中学生の中には その肩書きに憧れて 我が校に進学し サッカー部に入部する者すらいます〉。そうして今年も市立蘭山高校に、ケンカをとったら何も残らない不良たちが集まる。新入生の成田信吾もそのうちのひとりであった。入学早々、派手なケンカをやらかしては停学、そして退学の危機に陥る。その彼に救いの手を差し伸べたのは、サッカー部立て直しのため、監督として赴任してきたばかりの黒木である。しかし、このことが「県大会でベスト4に入らなければ廃部」という条件を、サッカー部に突きつけることとなる。はたして蘭山高校サッカー部は、再生の機会を得、幾多もの試練を乗り越えることができるのであろうか。というのが、この1巻からうかがえる作品の概要で、おそらくこれは、『GO ANd GO』における名門野球部の進退というプロットを、落ちこぼれサッカー部の奇跡へと流用し、発展させていったものだと考えられ、一個の目標に向かって複数の人物が団結する、そのようなコンセプトが、群像劇ふうでもあるドラマのつくりに、おおきく反映されている点もまた、通底している。それにしても興味深いのは、『ANGEL VOICE』というタイトルの由来と、1巻の表紙で登場人物たちは皆なぜ泣いているのか、で、じつは物語全体のハイライトを先取りしたと思しき第1話目の冒頭で、〈…………バラバラだったチームを……ひとつに……まとめてくれた…………あの歌声に応えよう〉と説明らしきものは為されているのだが、それが意味することまでは知らされていない。あの歌声とは。涙の理由とは。そういった関心は、すくなくともサッカー部のメンバーが11人(か、それ以上)揃う段階まで、引っ張られることになりそうだ。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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