ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年07月29日
 静かなるドン (1) 静かなるドン (2)

 テレビ・ドラマやVシネマなどで広く知られる『静かなるドン』だが、じつは僕はオリジナルのマンガ版に関しては、鳴戸が死んだあたりからしか読んでこなかった。そのようなわけで、このたび文庫化されたのを機に、読み直していくことにしたのだが、これが思いのほか面白い、よく出来ている。昼間は下着メーカーで働くサラリーマン近藤静也、その正体はしかし広域暴力団新鮮組の三代目総長であったのだった。というストーリーは、今さら説明する必要もないだろう。新田たつおのマンガは、たとえば『凡人組』シリーズもそうだし、『サラ忍マン』なんかもそうなのだが、表向きはシステムに従順であるけれども、本質はアウトロー(システムに対するアンチテーゼ)という主人公を扱ったものが多く、本作もそのパターンにあたる。いや、初期の頃の作品は読んだときがないのでなんとも言えないが、もしかしたら、そういった構図自体が、本作によって確立された可能性もある。奥付をみると、80年代後半から連載がはじまっている。いっけんヘラヘラとしているが、じつは芯が通っているという設定は、ある意味では、時代性にともなう、硬派と軟派の相克によって生じたものなのではないか、といった推測もできる。や、まあ、それはそれとして。巧いなあと思うのは、死ぬときはあっけなく死ぬんだけど、それまでは、いったん登場させたキャラクターはちゃんと使い切ると、そういうつくりである。この文庫版でいえば、2巻の最後のエピソードで登場する同僚の馬場さんとその兄である刑事などは、ギャグの読み方をすれば、ふつう使い捨てのキャラである。だが、連載が長期化するにつれ、全体の流れがコメディからシリアスに移行してゆくと、再登場し、深く物語に関わってくるようになる。そうしたリサイクル能力というか、キャラクターの側を作風へと順応させてゆくセンスは、この作者のじつに特筆すべき点だと思う。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック