ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年08月30日
 蒼太の包丁(15) (マンサンコミックス)

 このマンガを読み続けてきた人間の多くが、まさか、あの須貝が、ここまで成長するとは思わなかったはずだ。すべての努力が報われるというわけではないが、すべての努力が報われないというわけでもない、ということかあ。『富み久』の親方の知り合いであり、マス・メディアにもよく取り上げられるほどの腕を持つ板前、嵐田が店を訪れたさい、須貝の仕事ぶりに目をとめ、彼を自分の店にスカウトする、というのが、15巻で『蒼太の包丁』に訪れる大きな転機である。蒼太が〈見込まれるというのは大変なことだよ……料理人というのはもともと指示を受けたらどこへでも行くものなんだからね!〉というとおり、それが自分の腕を磨くにあたって、一番の選択であると理解しながらも、仲居である純子に恋心を抱く須貝のなかには、迷いが生まれる。こうした須貝に関するエピソードを経て、作中における人間関係が、ふたたび変化するのであった。が、いやあ、このへんの展開の仕方が、じつに巧い。ふつう、料理マンガの類は、蘊蓄または説教や知識と料理の味を表現するためのリアクションがメインになりがちなものだけれども、『蒼太の包丁』の読み応えは、こうして、どんどんどんどんと転がっていく物語にこそ、ある。物語が転がってゆくと、自然に時間が生まれ、流れ、そのため登場人物たちは、必然的に成長を強いられる。このような連鎖反応が、いくつものドラマを織り成す。先述した経緯によって、須貝は『富み久』を去ることになるのだが、それが同時に、今後の蒼太をめぐる恋愛模様に影響を及ぼすことになりそうな、そういう気配を匂わせており、あらたな興をそそる。

 14巻について→こちら
 13巻について→こちら
 12巻について→こちら
 11巻について→こちら
 10巻について→こちら
 9巻について→こちら
 8巻について→こちら
 7巻について→こちら
 6巻について→こちら 
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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