ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2004年09月02日
 読んでる最中はわりと地味だなと思っていたのだけれど、じっさいに読み終えると余韻とともに嘆息した。ミステリとしては、それほどトリッキーではなくて、けっこう読んだそばからネタがバレる感じではある。が、しかし、これは、そうしたトリックの立て方とも深く関係しているのだけれど、登場人物たちのほとんどを、意図的に、入れ替え可能なものとして表したところに麻耶雄嵩の鋭さをみる。じっさいにある登場人物のひとりは、自らの生の交換可能性についてを何度か口にするし、長崎や佐世保、松浦や平戸といった登場人物たちの名付け方にも、それは如実である。本作で、登場人物たちの生を固有化させるものは、死という存在である。生者は誰も印象が薄いが、死んだ者の名前だけが、記憶にひっかかるようになっている。とはいえ、終盤、登場人物たちの立場が二転三転する、そして……辿り着いたエピローグにおいて逆転が起こる。死者は忘れ去られ、名前のない生者だけが、読み手の関心を一手に引き受ける。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック